左脚失ったコウノトリ 義足でリハビリ「いつか歩行を」 兵庫

国の特別天然記念物コウノトリが1月に兵庫県稲美町で、左脚の半分が欠損した状態で見つかり、県立コウノトリの郷公園(豊岡市)が義足を着けるプロジェクトに取り組んでいる。当初は衰弱して立てなかったが、同園の獣医が試行錯誤して試作した義足を左脚に装着。次第に両脚で休むまでに回復し、スムーズに歩けるようにリハビリと義足の改良を続けている。【村瀬達男】
このコウノトリは個体番号「J0325」の雌で、2020年5月に豊岡市の人工巣塔で生まれ、7月に巣立った。しかし、9月には左脚が腫れた状態で見つかり、同園が保護しようとしたが、別の鳥と共に他府県に移動した。負傷の原因は不明だが、郷公園の松本令以(れい)・獣医師は「狩猟用のわなに挟まれた可能性がある」と推測する。
その後、京都府を経て、11月に徳島県鳴門市で、住民に写真撮影された際は、左脚の半分が壊死(えし)して欠損していた。12月下旬に加古川市で目撃情報があり、1月21日、同市の隣の稲美町のため池で動けなくなっているJ0325を住民が救出し、動物病院に搬送。同院から連絡を受けた松本さんが同22日、移送して入院棟で保護した。
当時の体重は、片脚では十分な餌が取れなかったため、標準(約4キロ)より軽い3・2キロ。幸い細菌感染はなかったが、貧血や栄養不足のため、保護翌日の同23日には立ち上がれなかった。しかし、同25日、脚の関節を曲げた「犬座(いぬざ)」の状態まで体を起こし、自分で餌を食べられるようになり、健康な個体の1・5倍のドジョウやニジマスなどの餌を食べた結果、同29日に体重が3・6キロに増加。2月4日には片脚で立つまでに回復した。
100均グッズで試行錯誤し製作
この間、松本さんは義足の材料にプラスチック板や医療用ギプスを試したが、いずれも失敗。100円ショップで自費で購入した応援用ミニバットと、けん玉のプラスチックボールを突っ張り棒でつなげた義足に落ち着いた。ボールには滑り止めにゴムシートを巻く工夫もしている。
その義足を松本さんは2月5日、J0325の左脚に包帯を巻いて装着したが、「バランスを取るのが難しいのか、片脚で立ち、左脚が浮いてしまう」状態に。そこで餌をやる際、松本さんが左脚を地面に押さえ付けながら、餌を左斜め下に置くことで、くちばしで餌を食べる際、左脚に体重をかける感覚を覚え込ませた。そのリハビリ効果が徐々に現れ、同14日には時々、義足を地面に着けて休むようになった。
リハビリには郷公園の動物看護師の堀江真優さんも参加。3月11日に堀江さんがJ0325の左脚を押さえて、餌を前に投げると、翼を羽ばたかせながら大股で右脚を前に出し、餌を追う動画が郷公園のフェイスブックに投稿された。
松本さんは「歩ける可能性を信じてやっている」と言いつつも、「義足が壊れたらメンテナンスできないので、野外に帰すのは無理」と分析している。
郷公園の鳥井ゆかり総務課長は「現在、正常な右脚ばかり使うので腫れている。今後は左脚の義足を改良しつつ、両脚で歩くリハビリを続け、右脚の負担を軽減したい」としている。