「南口は対象外」のJR三鷹駅 都内まん延防止点在「効果ある?」

新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が12日にも新たに適用される東京都。23区のほか武蔵野、立川、八王子、町田、調布、府中の6市で、東京の西側は対象地域が点在することになる。交通網が発達し、対象地域の内外で往来が活発なだけに、早くも戸惑いの声が上がる。
対象地域は、都が直近4週間の感染者数や飲食店の数を踏まえて決めた。まん延防止措置は飲食店での感染防止策の強化と違反した店舗への行政罰(過料)が柱で、都は不要不急の外出自粛や都県境をまたぐ移動の自粛も求める。
都心と多摩地域を結ぶJR中央線。三鷹駅の北口、武蔵野市は対象地域となるものの、飲食店が連なる南口の三鷹市は対象外だ。飲食店への営業時間短縮要請は、対象地域の北口が午後8時までとなり、対象外の南口はこれまで同様、午後9時までとなる見通しだ。
駅を挟んで分かれる対応。北口にあるタイ料理店「カオマンガイバザール三鷹店」店長、中里顕介さん(47)は「駅の南側に客が流れることも十分考えられるが、時短要請には応じるしかない」と半ばあきらめ顔だ。対照的に、南口付近を散歩していた地元の男性(72)は「何の対策にもならない」と切り捨てる。
対象地域の内外を縫うように走る中央線。三鷹駅以西は、次の武蔵境駅(武蔵野市)が対象で、東小金井駅など5駅は対象外。立川駅(立川市)は対象、日野など2駅は対象外で、八王子市の八王子駅から高尾駅にかけては対象となる。
23区内の反応はどうか。国内有数のターミナル駅・渋谷(渋谷区)。神奈川県横須賀市から区内に通学する女子大学生(19)は「あちこちから人が集まる東京で、23区と6市だけの措置は効果が少ないのでは」と疑問を呈する。駅構内の売店員、佐藤誠さん(35)は川崎市在住。「住んでいる地域が対象にならないと危機意識を持てない」
まん延防止措置への理解の声も聞かれた。渋谷駅で待ち合わせをしていた横浜市の大学生、藤川庸平さん(21)は「どこかで線を引かねばならない。区域を絞った今回の措置は理にかなった判断」と話した。新宿の百貨店に買い物に来た杉並区の主婦、楠政子さん(77)は「コロナ疲れで(世の中の)意識が薄らいでいる。もっと明快で厳しい対策を」と訴えた。
都外でも感想を尋ねた。午後6時過ぎ、神奈川県で最も利用客が多い横浜駅。家路を急ぐ雑踏には、東京で働く人も少なくない。
改札口付近を歩いていた横浜市在住の山本雅子さん(54)は千代田区の病院に勤務している。「神奈川の人は東京に働きに行く人が多い。(まん延防止措置の適用で)足並みをそろえないと、感染者は減らないのでは」と首をかしげた。品川区の会社で働く神奈川県海老名市の男性(54)も「神奈川や近隣の県も歩調を合わせないとだめだと思う」と持論を述べた。【李英浩、高田奈実、井口慎太郎、木下翔太郎】
東京都の要請の主な内容
▽飲食店や遊興施設向け(まん延防止措置地域)
・営業は午後8時まで(酒類の提供は午後7時まで)
・感染防止措置を実施しない客の入店禁止
・客へのマスク着用の周知
・カラオケ設備の利用自粛(飲食を主とする店舗)
▽運動施設や劇場など向け(まん延防止措置地域)
・大規模イベントの入場は5000人以内
▽都民向け
・会食で会話をする際のマスク着用の徹底
・重点措置区域の飲食店に午後8時以降出入りしない
・都県境を越えた不要不急の外出・移動の自粛
・変異株の流行している地域との往来自粛