在日米軍ヘリが東京都心で低空飛行を繰り返している問題で、米軍機の飛行に対する苦情窓口となっている防衛省が東京23区の住民らから寄せられた苦情をすぐに米軍に伝えず、3カ月ごとにまとめて通知していることが判明した。米軍は毎日新聞が報じた1カ月前の低空飛行にも時間の経過を理由に事実確認は難しいとしており、3カ月分をまとめる同省の対応では改善につながらない可能性が高い。苦情を寄せた住民は「もっと早く伝えるべきだ」と批判している。
防衛省は地方防衛局で自衛隊や米軍の飛行に関する苦情を住民や自治体から受け付け、自衛隊に該当しないと確認できた苦情の内容を米側に通知している。同省作成の苦情一覧によると、2017年度以降に米側に伝えた東京23区内の苦情のうちヘリに関するものは178件。低空飛行に伴う騒音や振動、恐怖感を訴える切実なものも多く、苦情の後も問題のある飛行は続いていた。
同省は取材に対して「地元への影響を最小限にするよう(米軍に)配慮を求めている」と説明する。だが、苦情を伝えるタイミングについては「確認作業を行った上で次の四半期(3カ月)中に米側へ通知している」と明らかにした。その理由は「(飛行から)数日経過してから苦情が寄せられる場合もある。その都度米側に伝えることも可能ではあるものの、一定の期間の苦情を集めることで、その傾向が明らかとなり、米側に対してより明確に実態を伝えることができる」としている。
毎日新聞は昨年7月~今年1月の間に米軍ヘリによる低空飛行を24回、危険を伴う訓練とみられる飛行を3回確認し、2月24日から動画とともに報道している。報じた飛行には3カ月以内のものも10回含まれていたが、米軍に報道内容の事実確認を求めた日本政府によると、飛行から時間がたっていることを理由に「詳細な事実確認は容易ではない」との説明を受けたという。米軍側が同じ対応を取るなら、同省の通知も効果を発揮しないことになる。
昨年夏に米軍ヘリに関する苦情を防衛省に伝えた世田谷区の男性(62)は民間企業で苦情対応に当たった経験も踏まえ「極力早く対処することが望まれる」と訴える。男性の連絡は米軍に伝えられた178件にも含まれており、同省の対応の遅さに疑問の目を向ける。「時間がたつと飛行記録も消されるかもしれない。住民の苦情にきちんと対応する防衛省、米軍であってほしいが、墜落でもしないと動かないのだろうか」とあきれていた。【大場弘行】