架空の通信利用料の名目で、顧客口座から計約2億8500万円を無断で引き落としたとして、警視庁は14日、通信・電力小売会社「あくびコミュニケーションズ」(東京都渋谷区、破産手続き中)元社長遠山和久(39)(目黒区)、元事業部長佐竹雅哉(43)(埼玉県越谷市)両容疑者を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕した。延べ約1万2000人の顧客口座から、総額5億円以上を不正に引き落としたとみて調べている。
捜査関係者によると、2人は2019年12月頃、同社の通信サービスを利用していた延べ約9000人の口座から、架空の通信利用料名目で計約2億8500万円を勝手に引き落とし、だまし取った疑い。
顧客の被害は1人当たり数万円程度とみられる。同時期に、ほかに延べ約3000人の口座から計約2億5000万円を引き落としていたとみられ、苦情が相次ぐなどして発覚した。
同社は当時、資金繰りに窮しており、警視庁は、詐取金を取引先への支払いや会社の運転資金などに充てていたとみている。
同社は15年3月設立。格安スマホや通信回線サービスを展開したが、不適切な電話勧誘を行ったとして17年6月に総務省から行政指導を受けた。その後参入した電力小売りでも、不適切な勧誘をしたとして19年4月に消費者庁から業務停止命令を受け、経営が悪化。20年2月に東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は約1億6000万円とされる。
同社のインターネット接続サービスを利用していた愛知県の無職女性(53)は昨年1月、突然、18万円の請求を受けたという。口座の残高不足で引き落とされずに済んだが、「身に覚えがない請求で驚いた。人の口座から勝手にお金を引き落とそうとするなんて許せない」と憤った。