兵庫県宝塚市の市立中学校で2019年6月、校舎から転落し、重傷を負った女子生徒について、市教育委員会が15日、第三者委員会の調査報告書を公表した。報告書では、生徒が所属していた吹奏楽部の男性顧問(31)による
叱責
( しっせき ) が転落の原因になったと認定。「顧問の強圧的な指導が部員たちに大きなストレスを与えていた」とし、学校についても、行き過ぎた指導を制止できる体制がなかったと批判した。(高部真一)
弁護士や医師、臨床心理士らでつくる「市子どもの権利サポート委員会」。聞き取り調査により、昨年3月に報告書をまとめた。当初は保護者の意向で非公表としていたが、実態を広く知ってほしいと保護者が方針転換したため、この日の公表に至った。
それによると、生徒は19年6月8日午後、コンクールを控えた合奏練習中、楽器の音が合わないとして顧問の男性教諭に「廊下に出て100回練習してこい。出ていけ」と厳しい口調で指示された。その後、4階から落ち、駆け付けた顧問に「先生、ごめんなさい」「できませんでした」などと言い、搬送された。
顧問の指導については、「叱責することが大半で部員がほめられることはほとんどなかった」「管理的、硬直的だった」と断定。「部員たちが
萎縮
( いしゅく ) していた」とした。
また、部活動は「ブラックボックス化」し、「校長ら管理職が部活動に関与せず実態をほとんど把握しておらず、教員間でも情報共有されていない」と学校を批判した。副顧問2人がいたのに、ほとんど関与していなかったと明示した。
調査報告書の公表を受け、森恵実子教育長が記者会見し、「生徒や家族に心身ともに大きな苦痛を与え、深くおわびしたい」と謝罪。「部活動が顧問任せになり、学校全体で状況を共有していなかった。学校全体で取り組む体制づくりを進める」と述べた。
男性顧問は昨年6月、不適切な指導だったとして県教委から停職1か月の懲戒処分を受けた。現在は別の中学校で仕事に復帰している。
女子生徒の母親が15日、弁護士を通じ、思いをつづった手記を寄せた。主な内容は以下の通り。
◎
娘は事件後、8回も手術を繰り返し、現在も加療中です。思うように動けず、日常生活にも支障をきたしており、更なる手術が必要になるかもしれません。
真面目に部活動に取り組んでいた娘が、音が合わなかっただけで理不尽に大声で叱責され、みんなの前で部屋から出されてどんなにつらかったか。
音楽を楽しみたくて吹奏楽部に入ったのに、怒られないよう顧問の顔色をうかがわなければならない部活とは何なのか。叱責されなければならないほどのことをしたのだろうか。重傷を負いながらも「ごめんなさい」と謝らなければならないことをしたのでしょうか。
顧問は昨年6月、停職処分が発表されましたが、「命に関わる重大な事件」が起き、今なお娘が心身ともに苦しんでいるのに軽い処分ですぐ復職してよいものなのか。
教育委員会は調査報告書を再度十分検討し、それを踏まえた再発防止策を徹底し、人を育てるという教師の資質について、もう一度考えていただきたい。