86歳の自動車教習所会長、免許返納 娘の言葉が刺さり

秋の全国交通安全運動が21日に始まるのを前に、群馬県内各地では20日、安全運転を呼びかけるイベントが開かれた。
桐生署大間々分庁舎(みどり市)では、86歳の自動車教習所会長が運転免許を返納した。
返納したのは、桐生自動車教習所(桐生市堤町3丁目)の関口義江会長(86)。免許を取得した1959(昭和34)年以来、60年近く無事故無違反。通勤や買い物のため、車体が大きい左ハンドルの外車を自在に操っていた。
転機は昨年5月の入院。免許返納を長女に求められた。「『あなたが言う権利があるの』とけんかにもなりました」。高齢ドライバーの交通事故のニュースを目にすることはあっても、自分に関係があるとは思えなかった。運転技術の衰えも感じることはなかった。
ただ、長女の「事故を起こしたら、教習所のみんなや地域社会に迷惑がかかる」という言葉が刺さった。「望んで事故を起こす人はいない。でも、万が一が起きることもある。教習所の信用を守るため、今、事故は起こせない」
退院と前後して、愛車を処分した。当初は空っぽの車庫を見ると寂しくて、涙が出た。「でも、最近はきっかけを作ってくれた娘に感謝しているんです」