福岡知事「受け入れざるを得ない」 急転直下の緊急事態宣言

「国の判断を尊重し、受け入れざるを得ない」
蔓(まん)延(えん)防止等重点措置を要請していた福岡県の服部誠太郎知事は6日夜、同県に緊急事態宣言の適用方針が急転直下で決まったことに戸惑いを見せた。
県が重点措置を要請していたのは県内の感染状況に差があるからだった。福岡市や久留米市で感染が広がる一方、北九州市など他の市町村では両市ほどの感染拡大は見られなかった。
県内全域が対象となる緊急事態宣言と違い、重点措置では知事が各市町村の状況に応じて適用区域を判断することができる。このため福岡、久留米両市を対象に重点措置を適用することが適切だとしていた。
服部氏は県内の感染状況を逐次、西村康稔経済再生担当相に伝えていた。6日午後の時点でも、西村氏との協議の中で緊急事態宣言の適用が俎(そ)上(じょう)に上ることはなかった。
ところが、政府は宣言の対象に福岡県も加える方向にかじを切った。服部氏は同日夜、西村氏から電話で「専門家からも(福岡が)危機的状況にあるという受け止めが示された。国としても大変難しい判断だった」と伝えられた。
政府としては、福岡県の感染状況が九州・山口全域に及ぼす影響が大きく、広域的にこれ以上の感染拡大を防ぐための対応が必要だと判断した。
この直前に服部氏は、重点措置適用を想定し、東京五輪聖火リレーの規模縮小を記者会見で発表したばかりだっただけに、県にとっては「寝耳に水」だった。
とはいえ、県内の感染状況が危機的であることは専門家の指摘からも明らかだ。県は4月22日以降、独自に福岡、久留米両市内の飲食店などに営業時間の短縮を要請しているが、大型連休中も新規感染者は高い水準で推移し、対策に限界もみられる。県内の医療関係者からは重点措置ではなく、より強い対策を講じる緊急事態宣言を求める声も上がっていた。
6日には時短要請を県内全域に拡大し、福岡、久留米両市内では午後8時までに1時間繰り上げたばかりだった。さらに12日から宣言が発令されれば休業を余儀なくされる飲食店が出てくることも予想され、事業者は二転三転する行政の対応に振り回されている。
3度目となる宣言に、飲食だけでなく交通や観光、宿泊など幅広い業種に甚大な影響が及んでいる。事業者からは悲痛な声が漏れ、県民の「宣言慣れ」も指摘される。県をはじめとする各自治体は、対策にいかに実効性を持たせるかが問われる。(小沢慶太)