レジ袋有料化やプラスチックスプーン有料化検討に続く、小泉進次郎環境相の新たな政策が波紋を広げている。脱炭素の取り組みについて、屋根置きの太陽光パネルが「切り札」とし、「景色が変わるようにやっていきたい」と意気込むが、専門家は疑問を呈する。
菅義偉首相は4月22日、温室効果ガス排出を2030年度に13年度比で46%減とすると表明、「まずは再生可能エネルギーを優先として行っていきたい」と述べた。
翌23日、閣議後記者会見で「再生可能エネルギーを(現在の)2倍入れなければ削減できない」と述べた小泉氏。20日には「導入に時間があまりかからないのが太陽光。『屋根置き』といわれる自家消費型の太陽光(パネル)が切り札だ」とし、「私も大臣室から外を眺めてみるが、まだまだ太陽光が置かれていない東京のビルはいっぱいある。これから景色が変わるようにやっていきたい」と太陽光発電の徹底活用を訴えている。
太陽光に熱を上げる小泉氏だが、エネルギー問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「太陽光発電は蓄電能力が乏しいうえ、発電量も天候に左右されるため、予備電力に化石燃料を充てる動きもある。太陽光発電を特に推進するドイツでは温室効果ガスの排出量が前年を上回った年もあった」と指摘する。
自家消費型の太陽光発電を先行して実施する米カリフォルニア州では昨年、記録的な猛暑に電力の供給が追い付かない事態に見舞われた。「新築の住宅に太陽光パネルを設置することを義務化したが、守らない住民もいたほか、電力設備への投資が減ったという要因もある。昨年は猛暑の影響で計画停電を実施したほどだ」と石井氏。
温室効果ガス削減へ好成績を維持するフランスや北欧諸国では水力発電や原子力発電が重視されているとし、「小泉氏が太陽光発電を切り札だと考える理由が分からない。そうした見解を出していない経済産業省と足並みがそろっていないように感じる」と話す。
日本でも、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度導入以降、大規模太陽光発電所(メガソーラー)が増え、供給が需要を上回りかねない状況も生じている。
前出の石井氏は「瓦屋根で1トン近い負荷がかかる住宅に太陽光パネルを設置すると、さらに300~400キロの負荷が加わる。地震など災害時に家屋がつぶれるリスクを高めるのではないか」とも警鐘を鳴らす。
小泉氏をめぐってはTBSのインタビューで、46%という数字について「おぼろげながら、浮かんできた」と発言したことも話題になった。自身のツイッターを開設し、英語のみで発信しているが、日本語の批判的なリプライ(返信)が殺到している。
小泉氏は地熱発電所の倍増を目指す意向も表明したが、こちらも環境や景観悪化、温泉枯渇への懸念がある。目標達成への具体策は、おぼろげなままだ。