石川県、変異株が9割に 連休で拡大か 「連鎖止まらない」

石川県は13日、新型コロナウイルスの感染者4人が死亡し、新たに56人が感染したと発表した。5月の新規感染者は計589人となり、月間で最多だった4月の584人を半月足らずで上回った。さらに変異株を調べるスクリーニング検査では、5月1~12日の間で変異株(N501Y)の割合が9割近くを占めており、専門家は大型連休の人の移動などで変異株が県内でも広がったと指摘する。
県によると、13日の新規感染者のうち、感染経路不明は23人。直近1週間では146人となり、県のモニタリング項目で最も深刻なステージ4相当(143人以上)を上回り、市中感染の広がりも懸念される。
県が5月1~12日に実施した94件のスクリーニング検査のうち、変異株は83件(88・3%)に上った。検査数に占める割合は、2020年12月1日~21年3月31日は1・4%だったが、4月1~13日は32・7%、同1~28日は74・5%と上昇しており、県内でも変異株の広がりが顕著となっている。
県対策本部会議のアドバイザーを務める市村宏・金沢大教授(ウイルス感染症制御学)は、大型連休期間の移動などで感染力の強い変異株が県内で流行していると指摘。「今までは外からの流入に気をつけていれば感染の連鎖が途切れていたが、連鎖が止まらなくなっている状態だ」と話す。
現在のように数十人単位で新規感染者が出る状況が続けば、医療崩壊の懸念が強まるとし「自分のコミュニティー以外の人と会うときは、(感染予防効果が高い)不織布のマスクをするなど、より厳格な対策を取ってほしい」と呼びかけている。【深尾昭寛、阿部弘賢】