新型コロナウイルスの新規感染者が北海道や沖縄県で過去最多を記録するなど全国に拡大している。東京都や大阪府は減少傾向だが、感染力が従来株の2倍とされるインド由来の変異株も新たな脅威だ。31日が期限の9都道府県の緊急事態宣言については、新たに対象となった沖縄を含めて東京五輪前までの延長論が出てきた。
田村憲久厚生労働相は21日の記者会見で、インド株について「従来株の倍以上の感染力を持っていると言う専門家もいる。非常に脅威を感じている」と強調した。
厚生労働省によると、インド株は今月18日時点で千葉、神奈川、静岡、大阪、兵庫の各県で計8例が確認されている。
現在国内で主流となっている英国由来の変異株は従来株より感染力が1・3倍高いとされるが、英政府の諮問委員会は、インド株の感染力は英国株の最大1・5倍高い「現実的な可能性」があるとしている。従来株より2倍程度感染力が高い計算だ。
インド株は表面の突起状タンパク質に「L452R」という変異がある。さらにワクチンが効きにくいとされる「免疫逃避」の特徴を持つ変異も指摘されている。
関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は「『L452R』の変異は細胞に付着しやすく感染力が高い。免疫逃避の可能性も否定できないが、ワクチンの効果の有無についての判断は時間を要する。重症化率もまだ不明だが、感染者の分母が増えれば重症者は増えるのは確かだ」と話す。
英国株は半年弱で国内の大半を占めるようになったが、インド株も同様の経過をたどるのか。
「国内の主流を占める可能性も否めない」と勝田氏。「一度国内に入れば、水際対策は感染を遅らせる意味合いしか持たなくなる。従来の感染防止策を続けるしかないが、宣言を解除とともに人流が増えれば、再拡大のリスクにつながる」と警鐘を鳴らす。
新たに緊急事態宣言の対象となった沖縄の期限は6月20日。他の9都道府県も20日まで延長するとの見方が強いが、7月23日開幕の東京五輪・パラリンピックを見すえて、関係閣僚には「7月第1週までやっていいのでは」との声も出ていると産経新聞は報じた。