愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件で、署名活動団体「愛知100万人リコールの会」事務局長の田中孝博容疑者(59)=地方自治法違反容疑で逮捕=が、名古屋市の広告関連会社に署名偽造を持ちかける際、「代筆する署名は自分の後援者のものだから大丈夫。同意も得ている」と説明していたことが関係者への取材で判明した。
関係者によると、田中容疑者は2020年10月19日、同社との間で署名偽造の「発注書」を交わし、同社は下請け会社を通じ佐賀市でアルバイトを雇って署名の代筆を行ったとされる。代筆の元になった名簿類は東京の業者から入手した疑いのあることが判明しているが、田中容疑者は署名代筆を依頼する際、「(田中容疑者の)後援会(メンバー)の代筆をお願いしたい」と説明。広告関連会社が「大丈夫なのか」と確認すると、田中容疑者は「同意を得ているから大丈夫だ」と話したという。田中容疑者が同社を信じ込ませるために虚偽の説明をしたとみられる。
田中容疑者は逮捕前の毎日新聞の取材に「署名を代筆して後で本人からサインと押印をもらえば問題ない」と話しており、同社にも同様の趣旨の説明をしたとみられる。田中容疑者は同社と発注書を交わす直前の20年10月上旬、同社に「人を集めたい」と打診し、「中国で人って集められるのか?」「中国が無理なら、北海道とか九州なら大丈夫か」などと話し、新型コロナウイルス対策に伴う制約などから候補地が絞られ、最終的に佐賀で代筆作業が行われることが決まったという。
一方、愛知県警は24日、リコールの会会長の高須克弥氏の女性秘書の関係会社(名古屋市)を地方自治法違反容疑で家宅捜索した。女性秘書は田中容疑者の指示で押印のない署名簿に指印を押していたことが既に判明している。県警は女性秘書から任意で事情聴取しており、署名偽造への関与の度合いを調べているとみられる。【高井瞳、藤顕一郎】