マウスが子供を巣に運ぶ子育て行動に関係しているたんぱく質を特定したと、理化学研究所などの研究チームが発表した。論文が1日付の米科学誌「セル・リポーツ」に掲載された。理研の黒田公美・チームリーダーは「母性に関する脳のメカニズム解明につながる可能性がある」と話している。
研究チームによると、マウスの子育て行動では、脳の下部にある部位「
内側視索前野
( ないそくしさくぜんや ) 中央部」が関係していることがわかっている。この部位で「カルシトニン受容体」と呼ばれるたんぱく質が妊娠後、最大約8倍に増えることに着目。カルシトニン受容体が働く神経細胞の機能を抑えたり、発現量を半分にしたりした。
その結果、子供を巣に運んで集める行動が見られなくなるか、減ることがわかった。高所にある足場の先に3匹の子供を置き、親が危険を顧みずに“救出”して巣に集めるか実験したところ、正常なマウスは平均約10分で終えたのに対し、カルシトニン受容体を抑えたマウスでは倍の同20分かかった。
麻布大の菊水健史教授(動物行動学)の話「内側視索前野は、食欲や性行動など本能的な行動を司る脳の部位にあり、そこで子育てに関するたんぱく質が見つかったことは意義深い。生物の生存に重要な行動であることを示している」