ワクチン接種、高齢者の次は 基礎疾患の住民把握困難、リスク高い職種優先も

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、高齢者の次の対象に移行する動きが強まっている。国は高齢者の接種完了を待たずに64歳以下への接種を進めるよう促しており、感染リスクの高い職種の接種をすでに始めた自治体がある一方、基礎疾患を抱える住民の把握に頭を悩ませる自治体も少なくない。当初の優先順位があいまいになり、自治体の裁量が増える中、接種スピードに格差が広がる可能性が出ている。

足立区は開始

東京都足立区は5月21日、16~64歳の基礎疾患のある人と高齢者施設の職員ら計約1万人に接種券を送り、すでに予約の取れた人から順次接種を始めている。集団接種会場での高齢者の接種率(1回目)は4割を超えており、担当者は「今後は医療機関での個別接種が鍵になる」と話す。
墨田区も今月1日に16~64歳の約17万5千人に接種券を一斉送付。21日以降、基礎疾患のある人や訪問介護施設職員らを最優先にしながら、7月20日までに段階的に全年代で接種を始める。「区民に安心してもらうためにも次のフェーズに移行した」(担当者)
国は6月末までに約5千万回分のワクチンを全国の市区町村に配送する予定で、高齢者に行き渡るめどが立てば、64歳以下の接種に回すことを認めている。7月5日の週からは新たに計2340万回分を供給することも明らかにしている。
「感染すると社会的影響が大きい職種には、優先的に接種してもらう」と話すのは福岡市の担当者。7月末の高齢者接種完了にめどが立ったため、5月28日から高齢者施設の職員らへの接種を始めた。施設内でのクラスター(感染者集団)を防ぐ狙いがあり、国の優先順位でも高齢者の次に位置づけられている。
さらに、「ワクチンを受けられない幼少の子供たちとの接点が多く、リスクが高い」との独自判断で、今月7日から保育園と幼稚園の職員に、21日からは学校の教職員などにも接種を進める予定だという。

病院で個別に

多くの自治体は国の優先順位に従い、64~60歳の人、基礎疾患のある人に接種券を先行配布できるよう準備を急いでいる。基礎疾患は慢性の呼吸器疾患、心臓病・腎臓病、肥満などが対象だが、自治体には住民の基礎疾患の情報を把握する方法がなく、自己申告に頼らざるを得ない。
福島県郡山市は接種券の発送前に、1日から電話とインターネットで住民の自己申告の受け付けを開始。それに基づき、今月下旬頃から順次接種券を送ることにしている。基礎疾患のある人は日常的に医療機関に通院しているため、かかりつけ医からも個別接種を働きかけてもらうという。
一方、中国地方の自治体は対象が絞りきれないとして、基礎疾患に優先接種枠を設けることに否定的だ。担当者は「自己申告では基礎疾患の有無の真偽を確かめられない」と首をひねる。現状は高齢者接種の対応に手いっぱいで「ワクチンの供給量などが確定しないと次の優先順位を検討できない」と訴えている。