京都府は8日、新型コロナウイルスに感染し、府内の宿泊療養施設に入所していた60代男性の血中酸素濃度が重篤な状態だったのに、携帯電話で送信された画像を看護師が見誤り、その後男性が死亡したと発表した。男性を巡っては長時間電話がつながらなかったのに、看護師の訪問が遅れたことが既に判明している。府は遺族に謝罪した。
府によると、男性は5月20日から入所。エレベーターホールに置かれたパルスオキシメーターで酸素濃度を測り、撮影画像を無料通信アプリ「LINE(ライン)」で送信して看護師に報告していた。
25日、男性はホールまで歩けず、自室用に貸し出された別機種で測った酸素濃度を3回撮影して報告。この機種は逆方向からも見えるように、ボタンを押すと酸素濃度と脈拍数が上下反転して表示される。看護師は反転表示された脈拍数を酸素濃度と勘違いし、92%、98%、95%と記録。実際の酸素濃度は76%、72%、52%で即入院が必要な値だった。画像も暗く、認識しにくかったという。
看護師は26日朝から男性に7回電話したがつながらず、午後に訪問。男性はベッドで倒れており、搬送先で死亡が確認された。今回の事例を受け、府は表示切り替え機能のあるパルスオキシメーター約50台の使用を中止した。【矢倉健次】