「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産登録へ向けて名称変更か

2021年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査を前に、関係者の間で名称の変更を巡る議論が浮上している。登録にあたっては国外に向けてより理解されやすい名称が求められるといい、今後、専門家らも交えて検討される予定だ。【井川加菜美】
青森県によると、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の名称は07年の北海道・北東北知事サミットで決定した。ただ、関係者の間では「北東北」という地域名では分かりにくいという指摘があるほか、地元からは具体的な地名が入ることで観光面での効果を期待する声も上がっているという。
また、登録に強い影響力を持つイコモス側から、世界遺産としての価値を明確にした名称を求められる可能性もある。
18年に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は当初は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」だったが、現地調査をしたイコモスから「禁教期との関わりに重点を置くべきだ」として名称の見直しを求められ、変更。15年に登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」も当初は別の名称だったが、イコモスがユネスコに登録の勧告をした際、名称の変更を求めた。
県世界文化遺産登録推進室の岡田康博室長は「より分かりやすく(遺跡群の)価値がストレートに伝わるよう名称をどうするか。現在の名称は定着しているが、世界的にそのまま受け入れられるか検討する必要がある」と話す。今後、専門家や関係機関などと検討を重ねる方針という。
縄文遺跡群は、4道県に点在する17遺跡で構成。県内には縄文時代を代表する大規模集落跡「三内丸山遺跡」(青森市)をはじめ4市2町に八つの遺跡がある。