高齢者の万引き 高い再犯率、背景に孤立 動画などで啓発 神奈川

万引きをして警察に検挙される高齢者の割合が増えていることを受け、神奈川県は防止プログラムを策定した。背景に家庭内や地域での高齢者の孤立があるとされる点に着目し、本人だけでなく家族にも理解を呼びかける冊子や動画を作成。万引きを未然に防ぎ、検挙された高齢者の再発防止につなげたい考えだ。【高田奈実】
プログラムで作成した冊子や動画はまず、万引きが重大な犯罪であることを伝える。さらにコミュニケーションの大切さを説明するほか、相談できる関係機関の情報も盛り込んだ。動画はドラマ仕立てにし、逮捕後の流れを疑似体験できる構成になっている。県警と協力し、これらを万引きをした高齢者やその家族に配布する。
警察庁によると、全国で万引き容疑で検挙された人数のうち、65歳以上の高齢者の割合は毎年増加傾向にあり、2010年は26%だったのが19年は40%と1・5倍になった。県内でも20年の万引き検挙人数3165人のうち、高齢者は1292人と4割を占め、全国と同じ傾向にある。
万引きは再犯率の高さも指摘されており、高齢者の再犯者数は12年以降一貫して初犯者を上回り、19年は初犯者数の1・4倍だった。警察白書は、高齢者の万引きは血縁、地縁などコミュニティーとの関係が希薄になっていることが背景にあると指摘している。
県は法務省の地域再犯防止推進モデル事業として、18~20年度にプログラム策定のための検討委員会を設置。県警と連携し、県内で万引きで逮捕された高齢者を対象に冊子を配布したり動画を視聴させたりし、効果を検証した。また、高齢者支援センターや県更生福祉協議会、大学とも連携し、福祉関係の職員や学生への研修会を実施した。
県は今後も冊子や動画を活用し、家族や地域の人々、福祉関係者への周知を広げていくとともに関係機関との連携強化を目指す。県地域福祉課は「背景を理解してもらい、万引き防止につなげたい」と話す。