大阪府飲酒容認 府知事は自粛要請の形骸化懸念

新型コロナウイルス特別措置法に基づく蔓延(まんえん)防止等重点措置が21日から適用される大阪府は18日、政府より厳しい条件を設定し、飲食店での酒類提供容認を決めた。背景には、変異株が存在し、感染対策の徹底を迫られる一方、一律の自粛要請が長期化すれば店側の反発を招き、要請の形骸化をもたらしかねないとの危機感がある。
「感染対策を徹底し、リバウンド(感染再拡大)を起こさせない思いだ」。吉村洋文知事は18日の対策本部会議後、記者団から飲食店への要請内容に込めた思いを問われ、こう答えた。
吉村氏の脳裏には3月以降の「第4波」で変異株の急拡大に見舞われ、医療体制の危機的状況を引き起こした苦い記憶が刻まれている。半ば「トラウマ」(吉村氏周辺)となり、内心では自粛要請継続の思いが強く、条件付きの酒類提供を認める松井一郎大阪市長とは意見が合わなかった。
緊急事態宣言下で医療体制の逼迫(ひっぱく)度は改善傾向にあるが、予断を許さない。2度目の緊急事態宣言が解除された3月1日時点の重症者87人と比べ、直近は120人前後と高く、今月16日の対策本部会議で藤井睦子健康医療部長は「第3波以降の経験を必ず踏まえなくてはならない」と繰り返し訴えた。
一方、ある幹部は「単に厳しい措置を継続しても、浸透するわけではないところに今回の対応の難しさがある」と漏らす。
要請対象となる府内の飲食店は約7万店舗ともいわれ、大阪市内での営業時間短縮要請は、2度目の宣言が始まった1月中旬から数えても約5カ月にわたる。
府は5月31日までに時短要請に応じない16店に命令を出し、うち11店については行政罰である過料の手続きを取った。ただ、こうした店は「氷山の一角にすぎない」との見方もある。府幹部は「一律に自粛要請を続けても制御できるだろうかと、知事は悩んでいた」と明かす。
転機は17日。政府は基本的対処方針を改定し、酒類提供を容認する「一定の要件」を示した。政府の要件では「不十分」と判断した吉村氏は18日朝になって、以前から準備してきた第三者認証制度を活用し、政府よりも厳しい条件で酒類提供を認めることを決めた。
認証を申請した飲食店も容認の対象に含めることで、感染対策を促す狙いもあるとみられる。吉村氏が「いま取り得る最もベターな案」とする要請の実効性は、人流拡大が予想される今夏にも問われる。