「あと何年かかるのか」。夫婦が同一の姓を称するよう定めた民法と戸籍法の規定を「合憲」とした23日の最高裁決定を受け、審判を申し立てた事実婚の夫婦や弁護団は東京都内で記者会見し、怒りや落胆の声を上げた。
「これを破られた気持ちになった」。申立人で、都内に住む40代の高橋彩さん=仮名=は手に持った婚姻届を示しながら声を震わせた。書面には「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」との文字。「違憲」の決定が出たら役所に届け出るつもりだったという。
「たくさんの方の期待を裁判所は裏切った。内容は前回の判決そのままで、個人の権利に真摯(しんし)に向き合わなかった。そんな国に私たちはいるんだ」と失望をあらわにした。
事実婚の相手で、40代の水沢博司さん=仮名=は「残念というほかない」と天を仰いだ。決定で、選択的夫婦別姓など制度の在り方が国会で論じられるべきなどと指摘されたことに関し、「国会に何度ボールを投げればいいのか。子どもたちがどういう道を選ぶか、選択肢をつくるのは私たちの世代の役割だ」と語気を強めた。
医療関係の職に就く真島幸乃さん(47)=仮名=は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出た昨年4月、重症になった場合に備え、事実婚では受けられない公的ケアが受けられるよう婚姻届を用意した。「事実婚でいいだろうと無責任に言ってくる人たちに憤りを覚える」と語った。
最高裁の15人の裁判官のうち女性は2人のみ。弁護団長の榊原富士子弁護士は「半分が女性だったらこのような結論には絶対にならないと思う」と話した。
[時事通信社]