夫婦別姓「最後の宿題」 最高裁の回答は? 23日再び憲法判断

夫婦は同姓とする民法と戸籍法の規定について、最高裁大法廷は23日、2度目の憲法判断を示す。女性の社会進出を背景に、法相の諮問機関・法制審議会は1996年、「選択的夫婦別姓」制度の導入をはじめとする民法改正案要綱を答申していた。それから25年。家族を巡る法律が次々と見直される中、夫婦別姓が取り残されている。大法廷は、どう応えるのか。
夫婦同姓は1898年施行の明治民法で規定された。近代国家の建設を目指す明治政府は「家」制度を設け、国民に名字を持たせて、戸主である夫を通じて国民を掌握した。妻は夫の家に入り「家の氏を称す」とされた。
戦後、日本国憲法が成立すると、個人の尊重や法の下の平等といった考えに基づき、家制度は廃止され、夫婦同姓規定は男女平等の「夫か妻の氏を称する」と改められた。ただ、男性優位の家意識は国民の間に深く浸透し、長らく婚姻後は夫の姓を名乗るのが当然とされてきた。
高度経済成長を経て国民の価値観が多様化し、女性の社会進出が進むと、変化の兆しが見える。1985年には、日本が女性差別撤廃条約を批准。この頃から別姓を求める声が次第に高まり、法制審での議論につながった。
政府は答申を受けて民法改正を目指した。だが「家族の絆が壊れる」とする自民党を中心とした保守系議員の反対によって頓挫した。議員立法で選択的夫婦別姓制度の導入案を出し続けてきた旧民主党政権が2009年に誕生しても、実現には至らなかった。
だが要綱には、他にも民法の家族制度を見直す論点が示され、その後の法改正の起点となった。
まず、結婚していない男女間に生まれた子(婚外子)の遺産相続分を、嫡出子の半分としていた民法の規定を削除する提言だ。相続格差は「法律婚の尊重と保護」のために設けられたとされ、やはり明治民法から引き継がれていた。最高裁が13年、規定を「法の下の平等を保障した憲法に反する」と判断し、その後に法改正された。
「女性のみに離婚後6カ月の再婚禁止を定めた規定は短縮すべきだ」とする指摘もあった。こちらも最高裁が15年、100日を超える部分を違憲とした。夫婦同姓規定を合憲と判断したのと同じ日だった。法制審議会の部会は現在、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」などとした嫡出推定規定の見直しを進めており、前夫と現夫との推定が重複しないようにした上で、再婚禁止期間を全面的に撤廃する方向で議論が続く。
さらに、結婚できる年齢を女性は16歳、男性は18歳とした規定も「男女とも18歳とすべきだ」と見直しを求めた。「家族を養う男性、子を産む女性」という考え方が根底にあるとの見方もあった。これも、成人年齢を18歳に引き下げる改正民法の施行によって22年4月に実現する。
これらの論点は、夫婦同姓と併せて国連からも「男女差別だ」と重ねて批判を受けてきた。最後の宿題となっている選択的夫婦別姓は、実現するのか。最高裁大法廷は15年、夫婦同姓を合憲とした判決の中で、選択的夫婦別姓について「合理性がないと断ずるものではない」と言及している。6年経過した現在も制度を設けていないことが違憲とされれば、国会は他の論点と同様に、法改正を迫られる。【山本将克】