新型コロナウイルスの変異株をめぐり、インド由来のデルタ株に続き、世界保健機関(WHO)は南米を起源とする「ラムダ株」についても警告を発した。日本も東京五輪・パラリンピックでの水際対策強化は急務だが、専門家は、ワクチン接種に一定の効果があるとした上で、今後も感染力が強い新たな変異株の出現は避けられないと指摘する。
東京都の29日の新規感染者は476人。直近7日間の平均は494・9人で500人台の水準に迫っている。
世界的にデルタ株が懸念されているが、WHOは14日、ラムダ株を「注目すべき変異株」に指定した。昨年8月にペルーで初めて報告され、南米を中心に29カ国・地域で確認されている。
ペルーでは4月以降に確認された症例のうち81%、アルゼンチンでは4月2日~5月19日に確認された症例の37%、チリでも4~6月ごろに32%がラムダ株に関連していることが報告された。
東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「感染力は従来株よりも高いデルタ株よりもさらに高いと推定されており、従来株に対する抗体の力を下げる可能性がある。南米は比較的感染対策が緩く、次々に感染するため変異を多く生んでいるとみられる」と話す。
外務省は28日、「水際対策上特に懸念すべき変異株」としてデルタ株のほか、南アフリカ由来のベータ株、ブラジル由来のガンマ株を指定したが、五輪開催時にラムダ株が持ち込まれる懸念も拭えない。
児玉氏は「2週間の隔離徹底や開催期間中の行動の追跡が必要だが、現実には難しいだろう。8~9割の人は規定を守ると思うが、国内の人流も増えることも予想され、甘く見てはいけない」と強調した。
当面の懸念はデルタ株だが、ラムダ株を含めて今後も変異株の脅威は続くと児玉氏は指摘する。
「従来株やほかの変異株よりも有利な点がなければ“椅子取りゲーム”に勝てないため、新たに確認された変異株ほど感染力が強くなる、免疫を逃避できるといった方向に進化する。ウイルスを根絶するまで変異は続き、(デルタ、ラムダなど)ギリシャ文字24文字以内に収まらなくなるのではないか」
それではラムダ株などの変異株にファイザーやモデルナなどのワクチンは効果があるのか。
児玉氏は「ワクチンは多くの種類の抗体を誘導するため、基本的には対応できる。ただ、体内に大量の変異株が流入すると、すり抜けるウイルスが出てくるため、これまでの感染対策を継続する必要がある」と語った。