大規模な土石流の発生から一夜明けた4日、静岡県熱海市の伊豆山地区には、押し寄せた土砂や建物の残骸が広がり、平穏な日常の風景は一変した。「無事でいてほしい」「少しでも早く見つけて」。安否が確認されていない住民の家族や知人らは、祈るような思いで捜索活動を見守った。
現場近くに住む男性(65)は、自宅が土砂に押しつぶされ、何とかがれきの中から抜け出すことができたが、一緒にいた妹(61)の安否が分からなくなっている。
男性は自宅2階にいて異変に気付き、窓から外をのぞくと、近くの道路に土砂とがれきが押し寄せてきた。「逃げないと命が危ない」。1階にいた妹に「早く上がってこい」と声をかけた。
間もなくして土石流にのみ込まれた自宅は傾いて倒れ、男性は壁や家具の下敷きとなった。泥やがれきをかき分けて脱出することができたが、近くに妹の姿はなく、呼びかけにも応答がない。近所の知人の車で避難する途中、携帯電話の発信履歴が妹の番号で埋まるほど電話をかけ続けたが、折り返しは今もない。
男性は右足などに大きなけがを負い、車いすでの避難生活を余儀なくされている。それでも、「今すぐにでも現場に行って妹を救い出したい」と声を振り絞った。