「生活再建の気力もない」住宅を撤去された女性 大阪・西成の崩落

高台にあった住宅2棟が崩落した大阪市西成区天下茶屋東2の住宅街。大阪市は6日、続いて倒壊する危険があった3階建て住宅をワイヤで引っ張り、撤去した。安全確保のため市消防局の隊員らが周辺住民に避難を呼び掛ける中、住民ら数十人が規制線の外側に集まり、倒れていく住宅の様子を見守った。
午後2時ごろ、住宅に取り付けられたワイヤを崖下に設置されたウインチが引っ張り始めた。約1時間後、住宅はゆっくりと傾いて高台下に倒れていった。
崩落は6月25日午前に発生。のり面部分が崩れ、住宅2棟が相次いで倒壊した。この2棟の南側に3階建て住宅があり、敷地の一部が崩れて危険な状態だったため、市が2日から撤去準備を進めていた。
この3階建て住宅に一人で住む女性(54)は、撤去される自宅を見に行かなかった。「長年住んできた家が崩れる様子は見たくなかった」という。
約30年前、同じ西成区内から現在の場所に移り住んだ。飼いネコたちと暮らし、これからもそうした日々が続くと思っていた日常が突然、一変した。
自宅に戻ることができず、現在は市営住宅に身を寄せているが、食欲はなく、「今はどうしていいか心の整理がつかない。生活を再建しようという気力もない」と吐露する。どうしてこんなことになったのか。「できることなら行政には原因を調べてほしい」。今望むのはそれだけだという。【郡悠介】