神奈川でワクチン接種ミス相次ぐ 難しいかじ取り

新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、神奈川県内では現場の混乱をうかがわせるミスやトラブルが相次いでいる。県の担当者らは、現場の初歩的なミスに起因する事例も少なくないと分析する。接種の遅れは社会経済活動の再開を遅らせることから、ミスや停滞のない接種が望まれている。一方で接種の現場は担当者らの疲弊が目立つことから、県や市町村の保健当局は難しいかじ取りを迫られている。
川崎市は6月13日、市内のワクチン管理拠点に置かれた冷凍庫の温度が上昇する不具合が発生し、保管されていた約6400回分を廃棄した。横浜市では5月27日、常温で長時間保存されていたワクチンを誤って119人に接種。残りの247回分を廃棄した。電源プラグがコンセントから外れていたことが原因だった。
停滞する接種
相模原市の北里大学病院では同25日、臨床実習予定だった同大の女子学生1人に、ワクチンを誤って1日に2回接種。鎌倉市の集団接種会場では6月13日、70代の男性にワクチンが入っていない空の状態で注射をした。
相次ぐミスについて、横浜市健康福祉局健康安全課の担当者は「保管の難しさや現場職員の疲労もさることながら、もっと基本的なところに問題があるのではないか」と推察。「ミスの撲滅に努めなければならない」と引き締めた。
接種の停滞には不満の声が上がる。すでに横浜市の大規模接種会場でのワクチン接種予約が取れた60代の女性は「コールセンターに電話をしてもなかなかつながらないし、インターネット予約もいっぱいで、予約できなかった」と振り返った。70代の男性は「横浜市は、とりわけワクチン接種が遅い。1回目を打ち終えたが、予約は非常に苦労した」と明かした。
「もう限界」の声
「蔓延(まんえん)防止等重点措置」によって営業自粛を余儀なくされている飲食店にとっても、コロナ収束の鍵を握る接種動向には関心が高い。鎌倉市でカフェを経営する男性(39)は「接種が進まず、客足が伸び悩んでいる上、酒類の提供もできない期間があり、経営的にかなり痛い」と肩を落とす。
横浜市内の飲食店で働く男性従業員(28)は「早く接種が終われば、みんな安心して再びお店に来てくれるのではないか」と期待を込めた。一方で、ワクチン接種の現場が疲弊している側面も浮かび上がってきた。
大規模集団接種センターで働く職員の一人は「業務は午後9時過ぎまで続くこともある。朝の業務開始から2~3時間で、腕は疲労でパンパンになり、注射器を握る手も安定しない。現場はもう限界だ」と明かした。この職員は朝6時半に出勤し、ワクチンを充(じゅうてん)する作業を丸一日繰り返しているといい、「現場の職員は、日々過酷な環境の中で働いている。そういった中では、ミスが起きやすくなってしまう」と指摘した。
県健康医療局医療危機対策本部室の担当者は「人手が足りない中で、現場に負担がかかっているのは事実」としつつ、「ワクチンの特性の理解が進むよう注意喚起していき、廃棄やミスを減らしたい」と話した。