無免許事故で議員除名「水差された」、都民ファ内に怒り…失った1議席に大きな意味

自民党と都民ファーストの会が、僅差で第1党と第2党の座を交代する結果となった都議選。自民は公明党と合わせても過半数に届かず、多数派を形作るには、この3党を中心とした各党がどう協力関係を結ぶかが焦点となるが、都民ファ当選者が起こした事故が新たな波紋を呼んでいる。(長嶋徳哉、佐藤果林)
「せっかくの健闘にいきなり水を差された」。都民ファ都議が憤慨する。
怒りの矛先は、投開票翌日に判明した同僚議員の人身事故だ。板橋区選挙区で当選した木下富美子都議(54)が選挙期間中の今月2日、無免許で車を運転し、2人に軽傷を負わせていた。都民ファは「明確な法律違反で、公人としてあるまじき行為。事故から数日後に初めて報告されたことも看過できない」として、5日に除名処分とすることを決定。木下都議からの弁明はなく、6日付で正式に除名した。
この日、同区選挙管理委員会では当選証書の付与式が開かれたが、木下都議は姿を見せなかった。

会派としての都民ファには、無所属で当選した1人が合流する方向で調整が進んでいる。木下都議の除名がなければ、獲得した31議席から1増の32議席となるはずだったが、目算は外れた。都民ファ都議は「1議席差だが、32議席と31議席では全然違う」と語る。
改選後の都議会で「32議席」は大きな意味を持つ。
自民党は今回、33議席を得て第1党となった。都議会の通例で、議長は第1党から出す。議長は基本的に採決に加わらないため、自民で採決に参加するのは32人。木下都議の除名がなければ、32となるはずだった都民ファと並ぶ。
都民ファ幹部は「多数派形成のために各党の連携が必要になる今の議会構造で、採決時に第1党と同数を持てればキャスチングボートを握ることができたのに」と落胆する。

木下都議を巡っては、「事故の事実を隠して有権者の審判を受けた」として強い批判が上がっている。投開票前日の3日には小池知事の激励も受けており、他党からは「都民ファや知事が辞職を勧告すべきだ」との声も強まっている。
麗沢大の川上和久教授(政治心理学)は「改選後は自公だけでも都民ファだけでも過半数に達せず、双方の協力が必要となる」とした上で、「新型コロナウイルスの感染再拡大やコロナ禍での五輪開催により、都民の『不安』は『不満』に変わった。都議会各党も小池知事も自身の利害だけを考えず、都民のために協力して都政を進められるよう関係を築くことを最優先すべきだ」と指摘する。