東京都で12日、4回目の緊急事態宣言が発令されたが、酒類を提供する飲食店に対する休業要請に応じない飲食店への「制裁」が厳しさを増している。取引金融機関への情報提供こそ撤回されたものの、取引業者や顧客を通じて締め上げる案も用意されている。狙い撃ちされる飲食店は青息吐息だ。
西村康稔経済再生担当相は8日、酒類を提供する飲食店が休業要請に応じない場合、取引金融機関に情報提供して順守を働き掛けてもらうよう求める方針を示していたが、批判が殺到して翌9日に撤回した。
西村氏は11日にはツイッターで「趣旨を十分に伝えられず反省しております」「決して融資を制限するといった趣旨ではありませんでした」と釈明し、「金融機関には、事業者への資金繰りの支援を重ねてお願い」していることなどを相次いで投稿した。
金融機関を通じた締め付け以外にも、要請に応じない飲食店を制裁する仕組みはある。酒類の卸業者や販売業者に取引停止を求めたり、グルメサイトを経由して利用客から飲食店の感染対策の状況を情報収集したりする案だ。
アメとムチのように、酒類提供をしない誓約書を提出した場合、日額4万円の協力金を先払いする方針も打ち出しているが、信用調査会社、東京経済情報部の森田幸典副部長は「詐欺が横行する温床になりかねない」と指摘する。
東京商工リサーチによると、居酒屋・バーを運営する上場主要14社の3月末時点の飲食店舗数は6152店で、コロナ禍前の2019年12月と比べ1048店減った。「酒類提供を伴う飲食店舗の見直しと減少は避けられず、年末には5000店台半ばまで減る可能性もある」とする。
大手居酒屋や外食チェーンの多くは酒類の提供停止や休業を決めたが、中小や個人店舗の状況も厳しい。巷には4回目の宣言で「自粛疲れ」も見られ、人出も減っていないなか、狙い撃ちにされている飲食店の不満は高まっており、要請を受け入れず、酒類の提供や夜間の営業を続ける店が続出することもありそうだ。
日本総合研究所マクロ経済研究センターの石川智久所長は「ルールを守るところにある程度の営業を認めるのはいいと思う。資金供給の遅れが問題なので、信用保証協会の保証の拡充や、ひとまず融資してコロナ後に補助金を渡して借金を相殺させる形式がいいのではないか」と提言した。