司法は再び、「黒い雨」訴訟の原告全員を被爆者と判断した。14日に言い渡された広島高裁の控訴審判決。原告や支援者らは1審の広島地裁判決よりも踏み込んだ内容を歓迎、互いに喜び合った。提訴から6年。亡くなった原告らを思い「もう一日たりとも、延ばしてほしくない」と、国や広島県・市に判決受け入れと早期の全面解決を望んだ。
「控訴を棄却する」。午後3時、高裁の304号法廷。西井和徒裁判長が主文を読み上げると、原告や支援者らに安堵(あんど)の表情が浮かんだ。
強い日差しが照りつける中、高裁前で弁護士が「全面勝訴」と書かれた垂れ幕を掲げた瞬間、汗を拭いながら吉報を待っていた原告や支援者から「おおー」という歓声と拍手が湧き起こった。高野正明原告団長(83)は「大変喜んでいます」と感極まった様子で、「2審も私たちが申し上げたことがうそでないと認めてくれた」と評価した。
原告の児玉伸子さん(85)=広島市佐伯区=は、「ようやくこの日が来て、胸のつかえが取れた。一生で一番うれしい」と顔をほころばせた。一方で「一緒に闘ってきた仲間たちは死んだり、認知症になったり。あまりにも時間がかかり過ぎている」と悔しさもにじませた。
高裁近くの広島弁護士会館では午後4時から報告集会があり、約170人が参加。原告団と弁護団、支援者らが「画期的な判決。大いに評価できる」とする声明を発表し、広島県・市に上告せず、原告全員に被爆者健康手帳を速やかに交付するよう求めた。原告代表として思いを述べた高東征二さん(80)は「生きて(国に)内部被ばくを認めさせる。次の世代のために闘ったと、胸を張って言えるように頑張りましょう」と締めくくり、全員で「頑張ろう」と三唱した。【中島昭浩、益川量平、賀有勇】
広島知事「県としては上告したくない」
被告である広島県の湯崎英彦知事は報道陣の取材に「黒い雨を体験した、疾病に罹患(りかん)している人は被爆者と認めるべきだと我々も考えており、高裁もそれを認めている。なので、県としては上告したくないと思っている。厚労省に我々の考えを伝え、協議しながら最終的な対応を決めたい」と述べた。【池田一生】