復興五輪「恩恵全く感じられぬ」「五輪よりワクチンを」…被災地で疑問広がる

23日に開幕した東京五輪は、東日本大震災から立ち直った姿を表す「復興五輪」を掲げている。再生の途上にある岩手県に暮らす人々からは期待や注文の声が上がった。
北上青年会議所理事長の本間大樹さん(38)は「復興五輪を掲げていることは良いことだ。被災地の方々も含め、日本全体が盛り上がるためのきっかけになってほしい」と話す。
新型コロナウイルスの感染拡大まっただ中で、大会運営を巡る数々のトラブルにも見舞われた。しかし、本間さんは「五輪を開催するという選択は評価する。チャレンジがあるからこそ、成功も失敗もある。実施するからこそ、批判もある。やらなければ批判もない」と前向きに受け止めている。
東京五輪は、選手らと交流し、支援への感謝を伝える機会となるはずだったが、コロナ禍でその姿が一変した。宮古市田老の漁業の男性(45)は「被災地として五輪の恩恵は全く感じられない」と語る。
久慈市の遠藤譲一市長も「コロナが前面に出てしまい、復興五輪の理念が国民に伝わっていると感じられない。五輪開催よりもワクチンの供給を優先してほしい」と述べ、被災地でも開催への疑問が広がっている。
ただ、開催した以上、被災地の現状の積極的な発信を求める声が目立つ。震災で陸前高田市の自宅が全壊し、夫(当時80歳)を亡くした女性(90)は、北上市に移住してからも定期的に古里へ帰り、復興の歩みを見つめている。当初から「復興五輪」の理念に違和感もあったが、今月、11年ぶりに海開きした高田松原海水浴場を見て感動を覚えた。「復興している様子が世界に少しでも伝わるような五輪になってほしい」と期待を寄せている。