名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月に死亡した問題で、出入国在留管理庁が10日に発表した最終報告書に対し、遺族や支援団体は「責任逃れの報告書だ」などと批判の声を上げた。
ウィシュマさんの遺族と代理人は午後3時、東京・永田町の参院議員会館で記者会見した。妹ワユミさん(28)は「死因も分からない。姉は体調が悪かったのに、なぜ(一時的に収容を解く)仮放免を許可しなかったのかも分からない。これで最終報告書と言えるのか」と声を震わせた。同じく妹のポールニマさん(27)も「これでは(スリランカで待つ)母に何も報告できない」と繰り返した。
最終報告書は、非常勤医師しか配置できなかった名古屋入管の医療体制に制約があったことを問題の背景事情として指摘した。指宿昭一弁護士は「生命や健康を守れる体制がない。施設内で、誰が、いつ死んでもおかしくない。入管には身体拘束する資格はない」と批判。その上で「報告書は末端の職員に責任を押しつけようとしており、入管制度や組織全体の責任は認めていない」と非難した。
ウィシュマさんが看守から心ない言葉を投げ掛けられていたことも最終報告書で明らかになった。ワユミさんは「姉への言動は、いじめ。何人亡くなれば入管は変わるのか」と訴えた。
一方の法務・入管。佐々木聖子・入管庁長官は記者会見で「お元気な姿で本国のご家族の元にお帰りいただけなかったことについて、本当に申し訳なく思う」と謝罪した。最終報告書は改善策として、職員の意識や組織体制の改革、医療体制の強化に取り組むとした。上川陽子法相は「共生社会の実現を目指す中、入管庁は変化する社会に合わせて自己改革していかなければならない」と注文を付けた。【近松仁太郎、遠山和宏】