神奈川県内のスーパーの店内で、野菜売り場のぬれていた床で滑って転倒し、左肘を骨折した60代の男性客が、店舗を経営する小田原百貨店に対し約1億200万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は7月28日、店側が安全管理を怠ったと認めて、約2180万円の支払いを命じた。 報道によると、男性は2016年10月、小田原百貨店湯河原店の野菜売り場で、サニーレタスの水が垂れた床に足を滑らせて転倒。骨折して手術を受けるなど入退院を余儀なくされるとともに、自身が経営していた会社も休業することになった。 被告側は「床がぬれていたとは考えがたい」と主張していたが、東京地裁は、「水気のあるサニーレタスを客が取る際に落ちた水が床に広がった」と指摘。清掃するなどの対応をした形跡がうかがえないとして、「安全管理義務に違反した」と判断したようだ。 ●「スーパーの転倒事故」で異なる判断も ところが、その直後、同じようにスーパーの店内で転倒した事案で、店側の義務違反を否定する判決があらわれた。 首都圏で展開しているスーパー「サミット」の店舗で、床に落ちていたかぼちゃの天ぷらを踏んで転倒し、ひざを負傷した30代の男性客が、同社に対し損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁が8月4日、同社に約57万円の支払いを命じた一審東京地裁判決を取り消し、男性の請求を棄却する判決を言い渡したのだ。 地裁は、天ぷらの落下は利用客によるものだったと認定したうえで、消費者庁のデータに基づいて「想定外の事態とはいえない」と判断。店側が「物が落下した状況が生じないようにすべき義務を尽くさなかった」として、安全管理を怠った店側の責任を認めていた。 報道によると、高裁は、天ぷらはレジ前の通路に落ちており、利用客から発見しやすい状態だったうえで、男性が転倒する直前に落下したものと認定。「利用客がレジ前の通路に天ぷらを落とすことは想定し難い」などと判断し、「従業員が安全確認をする法的義務はなかった」として、店側の責任を否定した。 サニーレタスの水滴で転倒した事故(レタス訴訟)と天ぷらで転倒した事故(天ぷら訴訟)で、同じような責任を問われていたが異なる判断となった。また、天ぷらで転倒した事故については、地裁と高裁とで判断が分かれた。これら判断が異なった判決をどうみればよいのだろうか。大橋賢也弁護士に聞いた。 ●「事故を予見できたか」「事故を防ぐ措置を講じていたか」がカギ
神奈川県内のスーパーの店内で、野菜売り場のぬれていた床で滑って転倒し、左肘を骨折した60代の男性客が、店舗を経営する小田原百貨店に対し約1億200万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は7月28日、店側が安全管理を怠ったと認めて、約2180万円の支払いを命じた。
報道によると、男性は2016年10月、小田原百貨店湯河原店の野菜売り場で、サニーレタスの水が垂れた床に足を滑らせて転倒。骨折して手術を受けるなど入退院を余儀なくされるとともに、自身が経営していた会社も休業することになった。
被告側は「床がぬれていたとは考えがたい」と主張していたが、東京地裁は、「水気のあるサニーレタスを客が取る際に落ちた水が床に広がった」と指摘。清掃するなどの対応をした形跡がうかがえないとして、「安全管理義務に違反した」と判断したようだ。
ところが、その直後、同じようにスーパーの店内で転倒した事案で、店側の義務違反を否定する判決があらわれた。
首都圏で展開しているスーパー「サミット」の店舗で、床に落ちていたかぼちゃの天ぷらを踏んで転倒し、ひざを負傷した30代の男性客が、同社に対し損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁が8月4日、同社に約57万円の支払いを命じた一審東京地裁判決を取り消し、男性の請求を棄却する判決を言い渡したのだ。
地裁は、天ぷらの落下は利用客によるものだったと認定したうえで、消費者庁のデータに基づいて「想定外の事態とはいえない」と判断。店側が「物が落下した状況が生じないようにすべき義務を尽くさなかった」として、安全管理を怠った店側の責任を認めていた。
報道によると、高裁は、天ぷらはレジ前の通路に落ちており、利用客から発見しやすい状態だったうえで、男性が転倒する直前に落下したものと認定。「利用客がレジ前の通路に天ぷらを落とすことは想定し難い」などと判断し、「従業員が安全確認をする法的義務はなかった」として、店側の責任を否定した。
サニーレタスの水滴で転倒した事故(レタス訴訟)と天ぷらで転倒した事故(天ぷら訴訟)で、同じような責任を問われていたが異なる判断となった。また、天ぷらで転倒した事故については、地裁と高裁とで判断が分かれた。これら判断が異なった判決をどうみればよいのだろうか。大橋賢也弁護士に聞いた。