政府は17日、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言を京都府や兵庫県にも発令することを決めた。両府県では事前に宣言発令を政府に要請する動きがあったものの、発令が見通せなかったため「まん延防止等重点措置」の適用地域を拡大させたばかり。感染がかつてないほど広がるなか、国と地方の対応にちぐはぐ感も目立つ。
京都府ではこの1週間、宣言要請を巡る方針がぶれた。
府内の新規感染者数が過去最多を更新した11日、西脇隆俊知事は宣言発令を政府に「要請する」と明言した。兵庫県も同じ方針だとした上で、「京阪神一体で意向を示せば、国を動かす力となる」と述べていた。ところが翌12日にトーンダウンする。府の対策本部会議後、要請を見送る意向に転換したことを明らかにし、「要請には何の法的根拠もない。発令してほしい気持ちは伝えている」と説明。一方で、京都市のみに適用していたまん延防止措置を17日から8市に拡大するとした。
態度を変えた理由は、5日に要請した福岡県で宣言が出されておらず、発令の確証が持てなかったためとみられる。しかし16日、政府が京都などに宣言を拡大する方針を固め、発令が決定的になった。要請をいったん見送ったことについて、西脇知事は「要請が国を動かすとは限らない。ただ要請すればよいというわけではない」と記者団に主張した。
こうした知事の対応は府民の目にどう映ったのか。祇園で広東料理店「ぎをん翠雲苑」(京都市東山区)を営む太田磯一さん(58)は「府に限らず、そもそも政府が迷走している。今に始まったことではない」と諦め顔。「まん延防止措置でも宣言でも、時短営業と酒類提供自粛という対処は変わらない。飲食店にとっては、どちらでも同じだ」と受け止める。
観光地・嵐山(京都市西京、右京区)の五つの商店街で構成する「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」の中川新八郎幹事長(72)は「東京パラリンピックもあるので、宣言を出すと水を差すという政治家の思惑もあったのだろう」と推測する。「我々の稼ぎ時は秋。早く感染者数が減少し、緩い規制になってお客さんに来てもらいたい」と打ち明けた。
ほぼ全域に「まん延防止」決めていた兵庫
兵庫県も12日、神戸市や阪神地域などに適用していたまん延防止措置について、16日から但馬地域を除く県内ほぼ全域に広げることを決めていた。政府に宣言を出すよう求めていたという斎藤元彦知事は17日、「まん延防止措置の対象地域が拡大した直後に緊急事態宣言となり、さらなる負担、協力を求めて申し訳ない」と釈明した。【南陽子、福富智、添島香苗、宮本翔平】