サッカー・ワールドカップ(W杯)予選で来日後、国軍に抗議して帰国を拒否したミャンマー元代表のピエリヤンアウン選手(25)が20日、大阪市内で記者会見し、難民申請が認められたことを明らかにして「日本政府にとても感謝している」と述べた。5年間の在留と就労が可能な定住者資格が与えられ、この日、大阪出入国在留管理局(大阪市)で難民認定証明書と在留カードを受け取った。
同選手は5月28日の対日本代表戦で、国歌斉唱の際に3本指を立てるハンドサインで国軍への抗議を示した。6月16日夜に関西国際空港で保護を求め、22日に難民認定を申請。7月末には練習生としてサッカーJ3の「YSCC横浜」(横浜市)に加わった。
同選手は会見で「在留資格をもらえたので安心して暮らせる」とほっとした表情を浮かべる一方、母国で弾圧が続いていることに「心が痛み、悲しく思う。日本で募金活動や抗議集会に参加していきたい」と語った。今後はアルバイトで生計を立てながら、フットサルでのプロ選手契約を目指すという。また、これまで年齢を「27歳」としていたが、今回の難民認定手続きで正確な生年月日を確認し、2歳若い「25歳」に修正した。
YSCC横浜の吉野三郎・営業本部統括本部長は「サッカーをすることで、選手に日に日に笑顔が戻ってくるのはうれしい。日本でプロに挑戦してもらいたい」。支援してきた空野佳弘弁護士(大阪弁護士会)は、申請から2カ月のスピード認定に「適正、迅速に判断していただいた。日本政府がはっきりと国軍支配にノーという姿勢を示してくれたのかなと思う」と評価した。
ミャンマー国軍のクーデターによる情勢不安を受け、日本政府は緊急避難措置として難民認定の審査を迅速に行う方針を示していた。【古川幸奈】