自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)をめぐり、菅義偉首相を支えてきた主要派閥の統率が乱れている。新型コロナウイルス対策への不満などから、菅内閣の支持率は一部の世論調査で30%以下の「危険水域」に突入。最大勢力の細田派(96人)と第2派閥の麻生派(53人)では意見集約が難航し、「首相支持」を明言した二階俊博幹事長率いる二階派(47人)でも異論が噴出している。首相再選のシナリオは崩壊しつつある。
「菅首相には『降ろすなら、降ろせ』と、戦う姿勢をもって挑んでもらいたい。首相自身の言葉で戦いきってもらいたい」
小泉進次郎環境相は27日の記者会見でこう語ったが、現状を正確に理解しているとは思えない。
菅首相の地元・横浜市の市長選(22日投開票)は、「菅政権の信任投票」という側面もあっただけに、全面支援した候補が惨敗した真実は極めて深刻だ。
昨年9月の総裁選では、二階氏の号令で「菅支持」で結束した二階派も、26日の同派会合では異論が飛び交った。
あるベテラン議員は「地元は『菅政権ではダメだ!』と言っている。派閥で縛るべきではない」と声を張り上げた。
閣僚経験者は「派閥政治で首相の再選を決めれば衆院選は大惨敗する」と危機感を示し、別の議員も「細田派と麻生派は派閥単位で対応を決めないという情報がある。様子を見るべきだ」と訴えた。
衆院選が間近に迫るなか、細田派や麻生派の中堅・若手から「選挙の顔」として首相への不安が表面化している。
こうしたなか、石破茂元幹事長は27日、多くの出馬要請があるとしたうえで、「現時点でまったくの白紙だ。まだ時間がある。出るとも出ないとも決めていない」と鳥取市で記者団に語り、色気をにじませた。
安倍、麻生政権下で、党内から左派野党のような批判を繰り返し、「後ろから鉄砲」を撃ちまくっていた石破氏だけに、出馬となれば「石破包囲網」が構築される可能性もある。