自民党は26日、菅義偉首相の任期満了に伴う党総裁選を、「9月17日告示、29日投開票」の日程で、国会議員による投票に加え、全国の党員・党友も投票する「フルスペック」で実施することを決めた。国民の生命を守る新型コロナウイルス対策への不満・怒りなどから、菅内閣の支持率は一部の世論調査で30%以下の「危険水域」に突入している。今秋の衆院選での「政権交代」も取り沙汰されるなか、岸田文雄前政調会長は26日、「政治の根幹である『国民の信頼』が崩れている」として、総裁選出馬を表明した。菅首相や自民党に起死回生の策はあるのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が考察した。 菅首相の地元・横浜市での市長選惨敗を受け、菅政権の先行きが一挙に不透明になっている。果たして、菅首相が巻き返すチャンスはあるのだろうか。 先の横浜市長選では、菅首相が支持した前国家公安委員長の小此木八郎氏が、立憲民主党推薦の横浜市立大元教授、山中竹春氏に大差で敗れた。敗因は次の3つだ。 (1)新型コロナの感染拡大が止まらない(2)投票率が上がって、投票した無党派層のうち、かなりの部分が山中氏に流れた(3)カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致に反対した小此木氏と、従来の菅首相の主張が矛盾し、有権者が戸惑った。 これらの敗因が、いずれも衆院選に引き継がれれば、菅政権の敗北は確実だ。そこで、3つの要因を点検しよう。 まず、新型コロナだ。 確かに、新規感染者は増えているが、直近は横ばいに転じたようにも見える。ワクチン接種が進むので、この先、落ち着く可能性もある。とはいえ、新たな変異株の登場など、楽観はできない。 2つ目の無党派層が鍵を握るのは、衆院選も同じだ。彼らが積極的に投票すれば、相当部分が菅政権批判票になるだろう。感染拡大が多少、緩やかになったところで、コロナ対策に対する有権者の不満が収まるとも思えない。 3つ目は深刻だ。 菅首相はなぜ、IR反対の候補者を全面支援したのか? IRは官房長官時代から推進してきた肝煎りの事業だが、自分も反対に転じたのか? いまだに説明がないままだ。これは「発信力不足」といった話ではなく、「政策を説明する意思があるかどうかの問題」である。 このままだと、有権者は「菅首相は政策もブレる」とみて、動揺が「政権支持の岩盤層」にも広がりかねない。 以上を考えれば、菅首相が事態を打開するには、よほど大胆な手が必要になる。
自民党は26日、菅義偉首相の任期満了に伴う党総裁選を、「9月17日告示、29日投開票」の日程で、国会議員による投票に加え、全国の党員・党友も投票する「フルスペック」で実施することを決めた。国民の生命を守る新型コロナウイルス対策への不満・怒りなどから、菅内閣の支持率は一部の世論調査で30%以下の「危険水域」に突入している。今秋の衆院選での「政権交代」も取り沙汰されるなか、岸田文雄前政調会長は26日、「政治の根幹である『国民の信頼』が崩れている」として、総裁選出馬を表明した。菅首相や自民党に起死回生の策はあるのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が考察した。
菅首相の地元・横浜市での市長選惨敗を受け、菅政権の先行きが一挙に不透明になっている。果たして、菅首相が巻き返すチャンスはあるのだろうか。
先の横浜市長選では、菅首相が支持した前国家公安委員長の小此木八郎氏が、立憲民主党推薦の横浜市立大元教授、山中竹春氏に大差で敗れた。敗因は次の3つだ。
(1)新型コロナの感染拡大が止まらない(2)投票率が上がって、投票した無党派層のうち、かなりの部分が山中氏に流れた(3)カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致に反対した小此木氏と、従来の菅首相の主張が矛盾し、有権者が戸惑った。
これらの敗因が、いずれも衆院選に引き継がれれば、菅政権の敗北は確実だ。そこで、3つの要因を点検しよう。
まず、新型コロナだ。
確かに、新規感染者は増えているが、直近は横ばいに転じたようにも見える。ワクチン接種が進むので、この先、落ち着く可能性もある。とはいえ、新たな変異株の登場など、楽観はできない。
2つ目の無党派層が鍵を握るのは、衆院選も同じだ。彼らが積極的に投票すれば、相当部分が菅政権批判票になるだろう。感染拡大が多少、緩やかになったところで、コロナ対策に対する有権者の不満が収まるとも思えない。
3つ目は深刻だ。
菅首相はなぜ、IR反対の候補者を全面支援したのか? IRは官房長官時代から推進してきた肝煎りの事業だが、自分も反対に転じたのか? いまだに説明がないままだ。これは「発信力不足」といった話ではなく、「政策を説明する意思があるかどうかの問題」である。
このままだと、有権者は「菅首相は政策もブレる」とみて、動揺が「政権支持の岩盤層」にも広がりかねない。
以上を考えれば、菅首相が事態を打開するには、よほど大胆な手が必要になる。