沖に流された4歳男児、「奇跡」の救助劇…シュノーケルの会社員や休暇の自衛官ら連携プレー

青森県平内町の海岸で7月、海水浴をしていた男児(4)が一時沖に流される事故が起きた。当時の関係者は読売新聞の取材に応じ、事故の詳細を語った。男児は無事救助されたが、海岸には、巡回中の青森海上保安部職員や、遊びに来ていた自衛官らがおり、彼らの機転と連携プレーという「偶然の重なり」があった。(安楽泰人)
男児は7月31日午前、平内町油目崎付近の海岸で両親と海水浴をしていた。青森海保によると、海岸は遊泳禁止区域ではないが海水浴場として整備されていないため、監視員はいなかった。それでもシーズンになると地元の住民らが泳ぎに訪れる場所として知られていたという。
男児は馬の形をした遊泳用の浮き具に座った状態で父親と遊び、母親は浜辺で2人を見守っていた。ある時、男児が潮の流れに乗って父親から離れ、沖に流された。
業務で海岸周辺を見回っていた青森海保職員の阿部伸弘さん(37)は母親の叫び声を聞いた。見ると、沖に取り残されている男児の姿が。阿部さんは男児を目で追いながら海岸や岩場を走り、大声で周りの人に協力を求めた。すると、沖や浜辺にいた4人の男女が次々と男児の方へ向かった。うち2人は休暇中の海上自衛官だった。
男児が流された先の沖でシュノーケリングをしていた青森市の会社員、永井

雄大
(かずひろ)さん(25)は、阿部さんの呼びかけに応じた一人だ。「ただごとじゃない」と思い、潜水から浮上して辺りを見渡すと、浮き具の上で漂う男児がいた。
永井さんは急いで近づこうとしたが、男児は強い風でさらに沖へ流された。ついには浮き具から離れ、海に転落。幸いにも男児は両腕にも浮き具を付けていたため、海面に浮かんだ状態でいた。永井さんは必死に泳いでたどり着き、右腕で男児を抱えた。話しかけても男児は気が動転しており、返事はなかった。それでも表情から大丈夫そうだと感じ、そのまま岩場まで泳いで阿部さんに引き渡した。男児は結局、父親といた場所から500~700メートル流されていた。
阿部さんと自衛官らは、男児が水につからないよう交代で抱きかかえながら岩場の間を渡って浜辺まで移った。男児は海水を飲んでおり病院に搬送されたが、命に別条がないことがわかった。永井さんは「ライフジャケットなど浮くものがなかったら、どうなっていたか……」と青ざめる。
阿部さんは「周囲にいろいろな人がいたから助かった。奇跡的な状態だった」と強調する。その上で、監視員のいない浜辺で遊泳することの危険性を訴える。事故後、青森海保は県内の幼稚園や小中学校の園児、児童生徒の保護者に対し、救助体制が整っている海水浴場で遊泳し、遊泳時に子どもから目を離さないようメールで呼びかけた。