学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻が国などに損害賠償を求めた訴訟で、非公開の進行協議が8日、大阪地裁(中尾彰裁判長)であった。地裁は国が開示した「赤木ファイル」の写しについて、原本の内容と同一だったと妻側に伝えた。妻側の代理人弁護士が明らかにした。
背表紙に、「M事案」本省指示
国は6月、赤木さんが改ざんの詳しい経緯を残した全518ページのファイルの写しを地裁と妻側に開示した。しかし、妻側は「存在するはずの資料やメールが欠落している可能性がある」と主張。国は7月にファイルの原本提出に応じ、地裁が内容を精査していた。
代理人に対する地裁の説明によると、A4判のファイルは青色で、背表紙には<(取扱注意)「M事案」本省指示(調書等)備忘>などと記載されていた。「M」は森友学園を示しているとされる。とじられていた内部メールや文書は写しと同じことが確認された。
妻の雅子さん(50)は協議後に取材に応じ、「夫は苦悩しながらこのファイルを残した。国が黒塗りした部分も含めて知りたいことは他にもたくさんある」と語った。
赤木ファイルを巡っては、赤木さんが改ざんの経緯をまとめた備忘記録や、佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)の「直接指示」を伝える理財局発のメールなどが含まれていた。
一方で、国はファイルの写しを開示した際、幹部職員以外の名前をマスキング処理(黒塗り)しており、本省側からのメールの差出人は伏せられている。理財局内部で当時、具体的にどのようなやり取りがあったかも分かっていない。
雅子さんは8月、財務省に対し、改ざんに関わった職員間で交わされた電子メールを含む関連の行政文書を開示請求した。【松本紫帆】