新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が19都道府県で30日まで延長されることが決まった。愛知県内では1日当たりの新規感染者が3週間以上、1000人超で高止まりしており、中でも10代以下の子どもの感染が目立つ。専門家からは「感染の仕方や経路は変化しており、飲食店中心の従来の対策は実態とずれている」との指摘も上がっている。
県内では「第5波」が始まった7月21日以降、9月7日までの感染者のうち、20代以下が50%を占め、第4波の38%を大きく上回る。現在発生中の感染者集団(クラスター)も若者を中心に広がっており、24件中8件を保育施設や学校が占める。
県教育委員会などによると、第5波では公立小中高校1186校のうち延べ53校が休校や学年閉鎖などを行った。県は中高生を含めて若者を対象にワクチン接種を進める方針。さらに今月14日から11月12日まで、名古屋市内の繁華街で無料のPCR検査を実施する。無症状が多い若者の感染者をいち早く見つけ、拡散を防ぎたい考えだ。
一方、乳幼児の感染も増え、休園した保育園は延べ180カ所に上る。
今回の宣言延長について愛知県立大の清水宣明教授(感染制御学)は「医療が逼迫(ひっぱく)しているため、やらざるを得ないのだろう」とした上で、「子どもや若者の感染が増え、従来通り酒を提供する飲食店や、デパートなどの自粛ではあまり効果がない。長くなれば慣れてしまい、緊張は続かない」と対策の限界を指摘する。
特に保育園では性質上「密集」「密接」は避けられないとして、「保育士や保護者のワクチン接種を進めるなどウイルスを持ち込まないことが大切」といい、小中高校については「学校任せでなく、教育委員会などが具体的な基準を設けて指導すべきだ」と訴えた。【高井瞳、太田敦子】