佐賀県鳥栖市で79歳の女性が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された長崎大薬学部4年の山口鴻志(こうし)容疑者(25)が、着替え用の服を事前に用意していた可能性があることが16日、捜査関係者への取材で明らかになった。山口容疑者は「事件後に服を着替えた」と供述。自首した際に所持していたハンマーも事件前に福岡市内で購入した中古品と話しており、県警は、誰かを襲撃する計画を立てて周到に準備した可能性があるとみて調べている。
山口容疑者は、10日午後1時ごろ、鳥栖市酒井東町の民家敷地内で、大塚千種(ちぐさ)さん(79)の頭を鈍器で複数回殴打し殺害したとして14日に逮捕された。
捜査関係者によると、山口容疑者は9日に自宅アパートがある長崎市から電車で福岡市に移動し、宿泊。10日にタクシーで鳥栖市に向かう際、商業施設名を伝えたが運転手が分からなかったため鳥栖市役所付近で降車し、徒歩で現場周辺を通ったとみられる。
また、大塚さんの遺体に争った形跡がなく、奪われた所持品がないことも捜査関係者への取材で判明。山口容疑者は、事件後に鳥栖市内で服を着替え、着ていた服は途中で捨てたという趣旨の話をしており、供述通りに山口容疑者の服とみられる衣類が市外で見つかった。13日に大分県警大分中央署に自首した際、リュックにはハンマーと着替えの衣服、スマートフォン、現金約8000円が入っていたという。
事件性を判断するための司法解剖が10日に実施されず、土日を挟んで13日になったことについて、佐賀県警は16日、佐賀大医学部付属病院の解剖医と調整した上だったとし「(その間も)事件性を軽視したわけではない」と説明した。
一方、山口容疑者の自宅アパートで9日夜に起きたぼやは長崎県警が放火も視野に捜査を進めており、佐賀、長崎両県警は16日、共同捜査を始めたと発表。長崎大の広報担当者は山口容疑者について「4年生になるまで通常通り進級できていた。特に変わった様子はなく、生活態度も問題なかったと聞いている」と話した。【高橋広之、井土映美、長岡健太郎】