大津市の自宅で小学1年の妹(当時6歳)に暴行して死なせたとして無職少年(17)が傷害致死容疑で逮捕された事件で、大津家裁(横井裕美裁判官)は17日、第1種少年院送致とする保護処分を決定した。同居の母親が妹の死亡まで7日間帰宅せず、少年が一人で家事や妹の世話を余儀なくされていた点などを考慮。「責任を少年のみに負わせるのは酷な面がある」と結論づけた。
決定によると、少年は7月22日ごろから8月1日にかけて、自宅で妹の顔や腹を殴ったり、蹴ったりするなどして死亡させた。少年は公園で、「妹がジャングルジムから落ちた」と近所の住民に119番を依頼していたが、虚偽だったとみられる。
少年は母親と妹の3人暮らし。決定によると、母親は7月ごろから家に帰らない日が増え、妹が亡くなるまでの7日間も不在だった。児童相談所なども、少年や妹がネグレクト(育児放棄)状態に置かれていると認識しながら、一時保護などの措置を取らなかった。
少年法は16歳以上の少年が故意に被害者を死亡させた事件について原則、検察官送致(逆送)するよう定めている。横井裁判官は「妹と2人だけで過ごし、頼れる人もいないまま過大なストレスを感じていた」と言及し、「少年が罪を償い、真に更生するためには刑事処分ではなく、保護処分を受けさせることが適切」と指摘した。【菅健吾】
専門家「児相や行政の責任は重い」
結城康博・淑徳大教授(社会福祉学)の話 妹を死なせた結果は重大だが、劣悪な家庭環境が影響し、少年は加害者であり被害者でもあったといえる。刑事処分ではなく、少年院送致の保護処分とした家裁の決定は理解できる。一方、児童相談所が母親のネグレクト(育児放棄)を認識しながら効果的な対処をしなかったのは問題だ。すぐに妹を一時保護するなどの措置を取るべきで、結果的に大人たちが少年に妹の養育を丸投げしてしまった。児相や行政の責任は重い。
家裁決定の要旨
・事件の数カ月前に母や妹との同居を始めたが、7月ごろから母が家に帰らない日が増え、妹の死亡までの7日間も不在だった。児童相談所などの公的機関も少年や妹がネグレクト状態に置かれていることを認識しながら一時保護などの措置も取られることなく、少年は一人で家事や妹の世話を余儀なくされた。
・少年は妹に蹴られたことをきっかけに衝動的に暴力を振るい、妹の言動を改めさせたいという動機もあいまって暴力を振るうようになった。
・少年は事件まで妹に暴力を振るったことがなかったなど、暴力的な傾向が高いとはいえない。幼少期から養育者が頻繁に入れ替わり、養育者から暴力やネグレクトを受けた成育歴の中で形成された少年の未熟な性格によるものと考えられる。
・事件当時、閉鎖的な空間で、精神的に不安定な妹と2人だけで過ごし、頼れる人もいないまま、慣れない家事や妹の世話をする中で、少年が感じていたストレスは相当なものだった。事件の責任を少年のみに負わせるのは酷な面がある。
・少年は事件を後悔する気持ちや妹に対する罪悪感は持っているものの、事件と真摯(しんし)に向き合い、自身の問題点について内省を深めるまでには至っておらず、少年が責任を自覚し、罪を償い、真に更生するためには刑事処分ではなく、保護処分を受けさせることが適切である。