鼻につく「腐敗臭」…空き地・道路脇に少量の産廃捨てて逃走、「ゲリラ投棄」横行

茨城県内で近年、「ゲリラ的不法投棄」が増えている。人目につかない夜間に、人通りの少ない道路脇や空き地を狙って比較的少量の産業廃棄物などを捨てる手口だ。2020年度に157件あり、県が統計を取り始めた16年度の約7倍に上る。県は今年度、ゲリラ投棄を封じるための組織を新設。県警OBらの「不法投棄等機動調査員」が巡回し、不審なダンプカーなどに目を光らせている。(寺倉岳)
■ダンプ1台分
常陸大宮市の県道に面した雑木林には、細かく砕かれたプラスチックごみが放置され、小さな山のようになっていた。暑さが厳しかった8月下旬。何かが腐ったようなにおいが立ちこめ、マスク越しにも鼻についた。
県の担当者は「ごみの量はダンプカー1台分。ゲリラ的不法投棄の典型例だ」と語る。この県道沿いでは他にも数か所で、1、2台分のごみが捨てられている。1か所あたりの量を少なくすることで短時間で現場から立ち去り、摘発を免れている可能性もあり、山間部などに大量投棄する従来の手口とは異なるという。
ごみの多くは、プラスチックを細かく砕く中間処理施設から出たものだ。本来は最終処分施設に運ばれ、処理されることになっている。
ただ、最終処分の費用はかさむという。県はゲリラ投棄によって、「不法投棄ビジネス」が広がっていると警戒する。正規処分の費用を免れるため、業者や個人ドライバーなどに安価で「処理」を依頼。受け手側も「臨時収入」を得るというカラクリだ。
■五輪で増加?
不法投棄の件数は12年度以降、前年度比で減少する傾向が続いていた。しかし、ゲリラ投棄の横行で18年度には増加に転じた。県によると、20年度の不法投棄197件のうち、ゲリラ投棄は157件で約8割を占めている。
捨てられているのは、大半が木くずやコンクリート片、プラスチック類といった産業廃棄物だ。県不法投棄対策室の須藤慎一室長補佐は「五輪で多くの大規模工事が行われた結果、廃棄物が増えた」と推測する。
■監視強める
ゲリラ投棄を防ぐために県は今年度、県警OBら10人を「不法投棄等機動調査員」として新たに採用した。県北や県央など県内5地域の県民センターなどに2人ずつ配置している。
機動調査員は昼夜を問わず、地域を巡回して不審車両などを監視する。ある機動調査員は「捨てる場面を確認した上で人物を特定し、警察の摘発につなげたい。不法投棄を減らすため、状況を変えたい」と語る。
県の調べでは、今年4~7月の不法投棄は49件。昨年同期間の76件に比べ約35%減った。「監視の目が強くなり捨てにくい」と打ち明ける業者もいるという。
県は住民らの協力にも期待する。摘発につながる情報の提供者を対象に、県独自の懸賞金制度も新設する方針だ。「不法投棄は早期発見が大切。怪しい車両を見かけたら通報を」と呼びかけている。

ゲリラ的不法投棄は家電などにも及ぶ。笠間市の栗畑に冷蔵庫4台を不法投棄したとして、今年5月に廃棄物処理法違反容疑で逮捕された茨城町の派遣社員の男(34)は、笠間署の調べに「100件ぐらいやった」と供述したという。
同署によると、男は業者が処理しきれない家電を引き取り、市道や栗畑に捨てていた。同署に対する男の説明では、冷蔵庫を軽トラックの荷台に積み込んで深夜、人通りの少ない市道などに移動。急発進させて荷台から落とし、すぐにその場を去っていた。1件あたり1万~7万円を受け取り、生活費などに充てていたという。