東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から愛媛県に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、高松高裁(神山隆一裁判長)は29日、1審・松山地裁判決に続いて国と東電の責任を認め、原告23人に総額4621万円の支払いを命じた。1審より1878万円増額した。同種訴訟で高裁判決は4件目で、国の責任を認めたのは3件目。
国の責任が争われた同種訴訟では、仙台高裁(2020年9月)と東京高裁(21年2月)が国の責任を認めた一方、同年1月の東京高裁は否定していた。地裁判決でも17件のうち、国の責任を認めたのは9件と判断が割れている。
判決は、政府の地震調査研究推進本部が02年7月に公表した地震予測「長期評価」に基づき、原発の敷地高を超える津波が到来する危険性があることを国が認識できたと指摘。東電に対し、浸水を防ぐ扉の設置などの対策を命じなかったことを「著しく合理性を欠く」と断じ、事故との因果関係を認めた。
その上で、国と東電に同等の責任を認め、平穏な生活を侵害された慰謝料などとして賠償を命じた。一部の原告については、故郷の人間関係や生活基盤を失ったとして「ふるさと喪失慰謝料」も認めた。
19年3月の1審判決では、原告25人のうち2人が事故後に生まれたとして賠償請求を認められず、控訴しなかった。【喜田奈那】