キノコ採りで遭難相次ぐ…行き先告げず「自分だけの穴場」へ1人で入山

9月に入り、山形県内では、キノコ採りに出かけた人の遭難事故が、月山で2件相次いで起きた。いずれも救助され無事だったが、昨年はキノコ採りに伴って6人が山岳遭難し、うち1人は死亡している。遭難しないために、県警は「なじみの場所であっても、家族に行き先を伝え、複数人で入山してほしい」と呼びかけている。(須永光)
3連休最終日の20日。午後3時15分頃、県消防防災ヘリ「もがみ」が、鶴岡市羽黒町川代の月山6合目付近で、道に迷った市内に住む50歳代男性を発見し、救助した。男性は午前9時頃にキノコ採りに1人で入山したが、午後0時半頃、携帯電話で知人に「自分のいる場所が分からなくなった」と伝えたという。知人が119番した。男性にけがはなかった。
同日午後3時半頃、同市羽黒町荒川の月山山中で、市内の70歳代男性が遭難したと、男性の家族が119番した。この男性もキノコ採りで午後0時半頃に1人で入山したという。鶴岡署員らが捜索し、午後5時過ぎに発見、無事に救助した。
県警地域課によると、遭難した2人とも、キノコ採りに夢中になっているうちに、帰り道が分からなくなったという。
キノコの新品種開発などに取り組む「県森林研究研修センター」(寒河江市)によると、今季は8月に断続的に雨が降り、適度な湿度に保たれたことから、マツタケやシメジが豊作という。同センター森林資源利用部の中村人史さん(52)は「豊作と聞くと、つい、慣れない山奥まで採りに行ってしまう人が多い」と心配する。

同課によると、昨年、キノコ採りの最中に遭難した6人のうち、4人は65歳以上の高齢者で、自宅付近の山で迷っていた。5人は家族らに行き先を伝えていなかった。4人は雨具や食料も持たず、軽装だった。携帯電話を持っていた人は2人だけだったという。
キノコ採りは、「自分だけの穴場」を他人に知られたくないため、詳しい行き先を告げず、1人で入山するケースが多い。
県警地域課の工藤正彦次長は「『あの山に行く』とだけでも周囲に伝えることで、遭難した際に捜索範囲が絞り込める」と話す。

県食品安全衛生課は、毒キノコによる食中毒にも警戒を呼びかける。
同課によると、県内では2016~20年の5年間に毒キノコによる食中毒が16件発生している。うち12件は、食用のヒラタケやムキタケと形が似ている「ツキヨタケ」だった。
素人が見分けるのは難しく、同課の大貫典子課長補佐は「食用と確信できないキノコは採らないのが鉄則。少しでも不安に感じたら、捨てる勇気も大切だ」と話している。

◆遭難しないための心がけ
・携帯電話を持参し、全地球測位システム(GPS)機能を有効に。電池切れに備え、予備バッテリーも持っていく。
・道に迷ったら来た道を戻る。分からなければ、見晴らしの良い場所で救助を要請する。
・日帰りでも飲食物を準備し、雨具も備える。
・クマ鈴、警笛、ラジオなどを携行する。
(県山岳遭難対策協議会の啓発ポスターより抜粋)