日本画の巨匠らの偽版画が大量に流通した事件で、著作権法違反容疑で逮捕された大阪府の元画商の男(53)が偽版画を業界内のオークションにかける際、匿名で出品できる仕組みを使っていたことがわかった。警視庁は、人気作品ばかりを多数出品していた不自然さを隠し、偽作の発覚を免れようとしたとみている。
元画商の男と奈良県の版画工房代表の男(67)は、2017~19年に東山
魁夷
(かいい)の風景画「道」など5作品の版画7点を違法に複製したとして、27日に警視庁に逮捕された。
関係者によると、元画商の男は版画工房代表の男に依頼して偽版画を作らせ、「交換会」と呼ばれる業界内のオークションに出品。この際、自分の名前を伏せ、オークション主催者が代わりに出品する「預かり」と呼ばれる仕組みを多用していた。
預かりでは通常、オークション参加者だけでなく、落札者にも真の出品者は明かされない。業界の慣行で出品を知られたくない時などに利用されるという。
著作権者の許諾を得て制作される正規の版画は、枚数限定で刷られる。このため、特に東山魁夷ら巨匠の版画の人気作は市場に出回る数が少ない。2人はこれらの人気作を1作品あたり約20点偽作したとされ、名前を明かして同じ作品をたびたび出品すれば、オークションに参加する他の画商らが不審に思い、偽作に気づく可能性もあったという。
警視庁は28日、2人を著作権法違反容疑で東京地検に送検し、実態を調べている。