繁華街や行楽地ににぎわいも「思ったより少ない」 宣言明け初の週末

新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が全面解除されてから初の週末となった2日、各地の繁華街や行楽地は大勢の人でにぎわった。ただ、観光地の関係者の中には「思っていたより少ない」との声もあり、以前の日常が戻るまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
東京・銀座では2日、約半年ぶりに歩行者天国が再開した。台風で荒天の前日から一転、さわやかな青空が広がり、買い物客が行き交った。飲食店前には入店待ちの人々の姿もあった。
歩行者天国を歩いていた東京都江戸川区の男性会社員(65)は行きつけのバーに向かう途中で、「外で飲むのは久々なので楽しみ」と笑顔だった。中央区の女性会社員(47)は「宣言が解除されて気分的に違う」と歓迎していた。港区の無職、山中せつこさん(70)も銀座を訪れるのは久しぶりといい、宣言解除を歓迎しつつ「ブレークスルー感染の話も聞くので、楽観できない」と語った。
金春通りで調味料などを販売する「銀座三河屋」の川口路子さん(75)は「街に活気が戻りつつある。久しぶりに店に来てくれたお客さんもいて、うれしかった。感染が再拡大せず、にぎわいが戻ることを期待している」と声を弾ませた。
都心に近い観光地の神奈川・鎌倉。土産店やテークアウトができる飲食店が建ち並ぶ「小町通り」には、食べ歩きを楽しむ人たちの姿が多く見られた。宣言期間中は休業を選択した飲食店も多かったが、1日から営業を再開した店もある。鎌倉小町商店会の今雅史会長(73)によると、9月から客足が戻りつつあり「もう辛抱できない、というところまで来ていた。一安心だ」と胸をなで下ろした。コロナ禍以前と比べると人出はまだ7割程度だが「みんな心なしか顔が明るい。感染対策をしっかりして、お客さんに安心して楽しんでもらいたい」と話した。
遠出を控えていたという東京都東大和市の本田千絵さん(57)は2回のワクチン接種が完了したこともあって観光を決めたといい、「怖くて我慢していたが、外出できるのはやっぱりうれしい」と満喫していた。
コロナ禍で一転、観光客が激減した京都。世界遺産・清水寺(京都市東山区)周辺では、着物姿で散策したり写真を撮ったりする観光客の姿があった。参道沿いの土産物店によると、来店する観光客は、昨春の感染拡大の前に比べると5分の1程度。インバウンド(訪日外国人)で人垣ができた頃にはほど遠く、女性従業員は「元通りになるには時間がかかるだろう」と表情を曇らせる。
一方、同寺に続く石段が美しい産寧(さんねい)坂で2020年10月に開店した卵菓子専門店「タマゴパーラー」の鈴木孝信マネジャー(51)は「宣言中はほとんど人がいない状況だった。解除で今後に期待している」と話した。
福井県の中学校で外国語指導助手をしているクリシェリア・シーモアさん(26)はこの日が誕生日で友人と京都を訪れた。「宣言中は県外に出ないよう自粛していた。外に出られて幸せ」と笑顔を見せた。
テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)は宣言解除に伴い、入場者数の上限を従来の5000人から1万人に引き上げた。2、3両日の入場券は売り切れており、広報担当者は「入場者数を調整しながら今後も慎重にパークの運営をしていきたい」と話した。
多くの買い物客でにぎわった大阪・ミナミの繁華街。大阪府摂津市の会社員、山本昌英さん(36)は、妻とベビーカーに乗せた長男と道頓堀を訪れ、グリコの巨大看板前で記念撮影した。「ずっと人混みを避けてきたが夫婦ともワクチン接種を済ませたので出かけることにした。久しぶりにミナミをぶらぶらしたい」と笑顔を浮かべた。
夫婦で買い物をしていた大阪市城東区の浅井務さん(68)は「思っていたほど混んでいなかったが、第6波が怖いのでマスクを着けて用心します」と気を引き締めた。戎橋近くのたこ焼き店の女性店員は「宣言が明けて若干増えた気もするが、コロナ前と比べればまだ少ない。府外からの観光客が増えるのを期待しています」と話した。
全国有数の温泉地、湯布院(大分県由布市)。福岡県宗像市の会社員、石田博文さん(49)は「1年以上ぶりの旅行で泊まりが良かったが、感染者の多い県からの宿泊は迷惑かと思って日帰りにした」と語った。
由布院温泉旅館組合によると、10~11月は紅葉が色づいて書き入れ時だが、宿泊の予約は例年の6割程度にとどまるという。土産物屋「湯布院油屋(しょうゆや)本店」の店長、水本竜馬さん(44)は「思っていた半分程度の人出だ。お客さんには来てほしいが、いつも宣言が明けて人出が増えると感染者も増えるので複雑な気持ちだ」。飲食店の店長、伊藤麻衣子さん(41)も「客足が戻ると思ったが違った。すぐにでも『GoToキャンペーン』を再開してほしい」と訴えた。【木下翔太郎、池田直、福富智、河慧琳】