「熊本城ホール」赤字3億円 熊本市が補 コロナ禍で目算狂う

新型コロナウイルスの影響で、熊本市の「熊本城ホール」を指定管理する共同事業体(JV)の2020年度収支が悪化したとして、市が3億1791万円の赤字を補(ほてん)した。総事業費299億円を要した市有施設で、大規模会議(コンベンション)やイベントを呼び込む目算だったが、コロナ禍を理由に公金が投入される結果になった。【栗栖由喜】
市によると、背景には指定管理者であるJVとの協定がある。協定は暴動や地震、風水害などの不可抗力で発生した損害は市が負担すると規定。市はコロナ禍による赤字がこれに当たると判断した。
熊本城ホールは、コンベンションでの誘客を目指す「MICE」ブームの中、熊本市中心部の再開発で整備され、19年12月に全面開業した。建物はバスターミナルなどと一体化し、3000人規模のコンベンション開催も可能だ。
市の指定管理料「ゼロ円」契約
指定管理者のJVは会議運営会社など4社で構成され、18年に公募で選ばれた。指定管理は自治体が所有施設を企業などに管理してもらう制度で、一般的には自治体が指定管理料を支払う。しかし、熊本城ホールは、市が指定管理料を支払わない一方で、利用料をJVが収入として受け取り管理運営に充てる仕組みになっている。さらに、JVは指定期間である19年度からの5年間で5000万円~1億円を市に納付するとしている。
「できるだけ公金を使わずに運営するということで、比較的、市に有利な条件」(大西一史市長)だったが、ホールの開業直後から感染が拡大し、状況は暗転。20年度はイベントや会議など610件のキャンセルが出た。
通常は、指定管理者が利用者からキャンセル料を徴収するが、市は感染防止の観点から徴収しないよう指定管理者に要請した。市は、キャンセル料を徴収しなかったことや臨時休館による減収などで赤字が出たと説明する。市は減収などが生じた約100の施設で計約5億9000万円の指定管理料を増額したが、うち熊本城ホールの赤字補が5割強を占める。
9月27日の市議会では、市議から「不測の事態で減収になれば青天井で補することに、市民の理解は得られない」といった意見が出た。21年度も7月までに86件のキャンセルが出た。
大西市長は9月28日の記者会見で「大きな災害級のパンデミックが起こり、運営も難しい面がある。公衆衛生の観点からもこうした対応が必要だった」と説明した。