「酒の提供停止に応じない店」県公表後に客が増える…[検証コロナ 第5波の教訓]<4>

新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が4か月を超えた9月下旬、那覇市の国際通り周辺に集まる飲食店の一つでは、テーブルに空のビールジョッキが並んでいた。マスクを着けずグループで酒を飲む若者の姿も。「アルコール提供可!」の看板を堂々と出す店もあった。
沖縄県は5月23日の宣言発令後、酒類提供の停止要請などに応じない246店(9月24日時点)の一覧を県ホームページ(HP)などで公表した。一部の店が休業に転じるなどしたが、公表店は「酒を飲める店」としても受け止められた。那覇市中心部にある居酒屋の男性店主(39)は「公表後はコロナ禍前より客が増えた。観光客に『ありがたい』と言われたぐらいだ」と明かす。一覧表を宿泊客らに配るホテルもあったという。
宣言の長期化で、沖縄の飲食店は疲弊していった。酒類提供の停止要請などに応じていないことを県が確認した店の数は、7月6日時点の194店が、8月4日には2倍超の470店に。呼応するように感染者は増え、7月上旬に2桁だった新規感染者数は8月25日に過去最多の809人に拡大した。県は、酒を出し続ける店で判明した感染者数もHPに掲載するなどしたが、歯止めにはならなかった。
糸数


(とおる)・県医療技監は「利用を控えてもらおうと公表した店名が、意図しない形で利用されたのは残念。飲食の場での感染が家庭に持ち込まれ、変異株の感染力の強さもあって子供にも拡大してしまった」と語る。