台風15号の直撃を受けた千葉県で、被災者が建物被害への公的支援を受けるのに必要な罹災証明(りさいしょうめい)書の発行が進んでいない。自治体がライフラインの復旧などに人手を取られ、家屋の被害を確認する家屋調査に割ける人員が不足しているためだが、役所の窓口には被災者が殺到。生活再建の遅れが危惧されている。
千葉市中央区の中央区役所は罹災証明書の申請を受け付ける臨時窓口を開設。24日も多くの市民が相談や申請に訪れた。
同区のビルオーナー、小沼勝英さん(75)はビル屋上の電気設備が、台風で飛んできた物置の直撃を受けて壊れた。「窓口では『申請が殺到していて罹災証明書の発行には約1カ月かかる』と言われた」と頭を抱える。
多くの家屋で、屋根を飛ばされるなどの被害が出たとみられる館山市は24日からようやく家屋調査に着手。22日までに2718件の申請があった南房総市で現地調査が済んだのは628件で、罹災証明書の発行はわずか6件にとどまる。
鋸南(きょなん)町では応援の県職員も加えて全戸調査に当たり、768件で調査を終えたが、まだ罹災証明書の発行には至っていない。
平成28年の熊本地震で罹災証明書の発行に数カ月かかった反省から、国は一部損壊家屋については現地調査を行わず、被災者が持参した写真などで簡易判定が行えるよう制度を改めた。今回、東庄町や多古町など一部の自治体では簡易判定を用いて即日、罹災証明書を発行するなどしているが、全壊や半壊の家屋ではこの手法は使えず、抜本的な解決策にはなっていない。
県は市町村に罹災証明書の発行や家屋の被害認定を行う応援職員をこれまでに258人派遣し、作業の迅速化を支援している。