窃盗で逮捕の警官に数々の余罪、犯行道具が並ぶ所有車…警察幹部「どっちが本職か分からない」

現職刑事でありながら捜査協力者の家などに忍び込み、高級腕時計などを盗んだとして、窃盗罪などに問われた三重県警四日市西署の元巡査、岩永拓馬被告(24)(伊勢市)に、津地裁は11日、懲役4年の実刑という厳しい判決を言い渡した。被害者らは怒りの声を上げ、県警幹部は頭を抱えた。(河野圭佑)
6月1日深夜、県警本部で緊急の記者会見が開かれた。「本日午前、会社役員の家からロレックスなど高級腕時計を盗んだとして、巡査を逮捕した」。西堀浩一・首席監察官が神妙な面持ちで発表文を読み上げた。
捜査が進むにつれ、6月1日未明にタクシー会社事務所で現金を盗んだり、前日にも建設会社や質店へ侵入を試みたりと、数々の余罪が浮上。岩永被告は、現場に残った足跡などの証拠を突きつけられ、「休暇中に伊勢市内の実家近くの民家でも腕時計を盗んだ」と認めた。県警は自供した10件を全て送検し、地検は、うち6件を起訴した。
法廷では、岩永被告は犯行動機について「職場に借金がばれたくなかった」と話した。車が好きで、購入と売却を繰り返し、借金額が約880万円まで膨らんだ。
返済期限が6月1日に迫り、「一括返済できない場合、給与を差し押さえる」と通告を受けたため、5月に犯行を重ねた。2年前、捜査協力を求めに訪れた会社役員宅を思い出し、「あそこなら多額の現金があると考えた」と述べた。

侵入され、金庫を傷つけられた四日市市の建設会社では、社員が「警官が犯人だったとは。悪い人を捕まえるのが仕事なのに、あきれてしまう。組織内での教育が足りないのでは」と憤りをみせた。
同市の質店は、岩永被告が客として度々訪れていたが、2度も侵入されそうになった。捜査関係者らによると、1度目は肩まである長髪のカツラをかぶり、2度目は防犯カメラの角度を変えて死角をつくるなど、身元がばれないよう細工していた。店の経営者は「捜査情報を悪用するなんて。質店の仕事では普段から捜査協力をしているが、今後はもう信用できない」と怒りをあらわにした。

官舎にあった岩永被告の車を捜索した捜査員は、車内の様子に驚いた。バール、グラインダー、バーナー……。犯行に使われた工具類が十数点、ずらりと並んでいた。「まるで大泥棒のような道具の多さ。これでは『出来心だった』の言い訳が通用するはずがない」と県警幹部はこぼす。
別の幹部も「用意周到さにあきれた。警察と窃盗犯、どっちが本職なのか分からない」とぼやいた。「窃盗犯は再犯率が高い。更生してくれたらいいが……」
判決では「前科前歴がないことや、被害弁済がされているなど考慮すべき情状はあるが、矯正教育を施して規範意識を養成する必要がある」などと量刑理由が述べられた。判決を受け、西堀・首席監察官は「改めて被害者の方々におわびします。判決を厳粛に受け止め、県民の信頼回復に努めます」と話した。