オートロックの共用玄関からマンション内に侵入し計5人の女性に乱暴するなどしたとして強盗・強制性交等や逮捕監禁致傷などの罪に問われた元不動産会社員で無職、原鉄平被告(38)=福岡市博多区=の裁判員裁判で、福岡地裁は20日、懲役23年(求刑・懲役25年)を言い渡した。柴田寿宏裁判長は「不動産会社勤務で得た知識を悪用し、女性の尊厳を踏みにじった」と述べた。
判決によると、原被告は2011年11月~20年2月、福岡市内の当時10~30代のいずれも1人暮らしの女性計5人の部屋に侵入して現金を奪い取ったり、ナイフで脅してキャッシュカードの暗証番号を聞き出したりして計約63万円を奪った。うち4人に乱暴やわいせつな行為をし、そのうち1人は両手を結束バンドで縛って全治5~7日間のけがをさせた。5人の部屋はいずれも鍵のかけ忘れなどで無施錠だった。
柴田裁判長は、被告がかつて勤務した不動産会社の業務で知った暗証番号を打ち込んでオートロックの共用玄関を解錠したり、1人暮らし用のマンションと把握したうえで侵入したりしており「厳しい非難を免れない」と指弾。多額の借金を抱えた被告が強盗に加えわいせつ行為などに及んでおり「身勝手な動機で酌量の余地はない」とした。
被告は、5人のうち19~20年の4人の事件は起訴内容をおおむね認め、裁判官のみで事前に区分審理された11年の女性1人の事件は全面的に否認したが有罪と認定されていた。
安心せず二重三重の防犯を
一連の事件は、不動産会社での勤務経験を悪用した被告がオートロックの共用玄関をすり抜けてマンションへの侵入を繰り返していた。北陸大の山本啓一教授(地域防犯)は「オートロックの共用玄関があれば安心ということは全くない。新型コロナウイルスの影響で宅配業者をはじめ見知らぬ人がマンション共用部に多く出入りするようになっており、二重三重の防犯を心がけてほしい」と話す。
今回は無施錠の女性が被害に遭ったが、福岡県警のアドバイザーとして性犯罪被害を分析してきた山本教授は「就寝中に無施錠で被害に遭う事例が多いわけではなく、ベランダを伝った窓からの侵入なども多い」と指摘。周囲から見えにくく侵入が容易な場所はないかなど「自分のマンションのリスクを総合的に見直してみてほしい」と呼びかけた。また、「暗証番号に頼らない最新式の施錠方式に交換するなど、不動産を扱う側の意識も重要だ」と話した。【平塚雄太】