24日投開票の参院静岡選挙区補欠選挙は無所属で前県議の山崎真之輔氏(40)(立憲民主、国民民主両党推薦)が、次点の、自民党で前御殿場市長の若林洋平氏(49)(公明党推薦)を約4万8000票差で破り、初当選した。衆院選(31日投開票)の前哨戦として注目を集めた激戦。その舞台裏を探る。
「ここまで影響が出るとは、誤算だった」――。
補選告示後に行われた自民党本部の情勢調査結果を見た若林陣営幹部は、思わずつぶやいた。
告示前に行った調査では、岸田政権の発足を受け、若林氏が大きくリードしていた。告示後、その差がほとんどなくなっていたからだ。
山崎氏猛追は川勝知事の参戦によるものだった。6月の知事選でブレーンを務めた山崎氏のため、サプライズで第一声に登場するなど、選挙期間中、繰り返し応援に駆け付けた。
選挙前、川勝知事は応援入りに消極的だった。重視するリニア中央新幹線の静岡工区の問題について、山崎陣営が当初、積極的に言及しない戦略だったためだ。だが、岸田政権発足で相手候補に追い風が吹いたため、山崎陣営、川勝知事ともに応援が不可欠と判断した。
川勝知事はマイクを握るたびに「水問題」について熱弁。知事選で相手候補を圧倒した手法で、山崎氏に対しても「触れなければだめだ」と諭したという。
山崎氏に勢いが出始めると、川勝知事の演説も鋭さを増していった。17日に沼津市内で応援演説に立った際には、「(静岡の)自民の議員は誰一人岸田政権の重役になっていない。役に立たないからだ」などと強い言葉で非難した。
知事に対抗すべく、自民党は得意の総力戦を展開。岸田首相の2度の静岡入りに加え、大物国会議員を次々と呼び寄せたが知事の勢いを崩すことが出来なかった。敗戦翌日、若林陣営の幹部は「山崎だけなら圧勝していた。党本部は川勝の力を見誤っていた」とこぼした。
山崎陣営の当選確実が伝わった後、静岡市内の事務所で取材に応じた若林氏は「力不足で申し訳ない」と肩を落とした。ただ、来年の参院選について問われると、「チャレンジしたい」と前向きな姿勢をみせた。
若林陣営は当初、政権交代に伴う「ご祝儀相場」で圧勝を想定していたが、リニア問題という静岡の「特殊性」がその考えを吹き飛ばした形だ。衆院選について、自民幹部は「参院補選とは別物」とするが、影響は避けられない。知事選に続く「連敗」ムードをどう断ち切るのか。体制の立て直し策を練り始めている。