プレサンス前社長に無罪判決 明浄学院横領事件 大阪地裁

学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)が土地売却で得た手付金21億円を着服したとして、業務上横領罪に問われた東証1部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市中央区)前社長、山岸忍被告(58)の判決で、大阪地裁は28日、無罪(求刑・懲役3年)を言い渡した。坂口裕俊裁判長は客観的証拠と被告の証言を踏まえ、「着服計画を認識していたとするには合理的な疑いが残る」と判断した。
大阪地検特捜部が独自に捜査した事件で全面無罪の判決が出るのは、2010年の証拠改ざん事件以降で初めてとみられる。
被告は事件を主導した法人元理事長(63)=業務上横領罪で懲役5年6月の実刑判決が確定=らと共謀して17年7月ごろ、法人に明浄学院高校(同市阿倍野区)の土地売却代の手付金として支払われた21億円を別会社の口座に移して着服したとして起訴された。
被告は公判で「横領に共謀した事実はない」と無罪を一貫して主張。着服計画を事前に認識し、法人元理事長らとの共謀関係が成立するかどうかが最大の争点だった。
検察側は公判で、被告が法人買収と土地売却を計画していた元理事長への資金提供を部下(56)=同罪で有罪判決=らから提案され、18億円を貸し付けたと指摘。元理事長が法人の経営権を握った後、手付金を返済に充てる枠組みを了承していたとし、「被告も計画を共有して加担した」と主張していた。
この部下は被告の関与を否定していたが、特捜部の取り調べ後に一転して認める供述を始めたとされる。坂口裁判長は、担当検事が部下への取り調べ中に「大罪人だ」「賠償金を払えるのか」などと迫っていたと指摘。「必要以上に強く責任を感じさせるもので、供述を変える強い動機を生じさせかねない」と述べ、供述の信用性を否定した。
また公判では、一連の取引を仲介し、捜査段階で被告の共謀を認める供述をしていた不動産会社元社長(54)=同罪で実刑判決=が「(被告の)関与を隠すとあなたの責任の重さが変わると検事に言われ、意に沿う供述をした」と証言。地裁は7月、元社長の供述調書を採用しない決定を出していた。
弁護側は18億円の貸し付けについて、被告が部下らから経営難の法人再建費用などと聞かされていたと反論。「元理事長個人ではなく法人に対する正当な貸し付けで、被告に着服計画の認識はなかった」と訴えていた。
大阪地検の八沢健三郎次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議のうえ適切に対応する」とのコメントを出した。【山本康介、榊原愛実】